2021年7月26日、「ビジネスと人権に関する行動計画推進円卓会議」の第1回会合が開催されました。日本政府が2020年10月に策定した『「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)』の末尾に記述されている「関係府省庁とステークホルダーとの間の信頼関係に基づく継続的な対話(行動計画の実施状況の確認の機会を含む)を行うための仕組み」が、行動計画策定から9か月後に立ち上げられたことになります。
外務省ウェブサイトによると、関係府省庁から「円卓会議の開催の趣旨や今後の議論の進め方について説明するとともに、最近の取組について紹介」され、「経済団体、有識者、市民社会、国際機関、各種団体等」のステークホルダーから「現状認識や問題意識、企業による人権尊重を後押ししていくための今後の取組や行動計画の実施状況のフォローアップの方途等について、期待や要望などが示され」たとされます。議事要旨は後日公開するとされています。
「ビジネスと人権に関する行動計画」は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を国として実施するために策定されたものです。その「指導原則」は、国には企業による人権侵害から個人を保護する「人権保護義務」を、企業には企業活動による人権侵害に対処する「人権尊重責任」を求め、人権侵害から「救済」する仕組みの重要性も示しています。
このうち、国の「人権保護義務」と国の施策としての「救済」について国の行うべきことを示すものが「行動計画」であり、そこには「人権尊重責任」を果たすべき企業の取り組みへの促進と支援も含まれています。
「行動計画」に示されている55項目の「今後行っていく具体的な措置」をはじめ、国が取り組むべき課題は広範囲に及びます。ミャンマー、ウイグルでの人権侵害を含めたサプライチェーン上の問題、またDHCによる差別記述をめぐる問題など、最近起こっている諸問題を含めて、人権を保護する観点から国がどのように対処していくのかが、今後問われていきます。
<参考>
(2021年08月10日 掲載)