欧州議会は2月17日、フィリピンにおけるドゥテルテ大統領の「麻薬戦争」に関連した何千人もの超法規的処刑およびその他の深刻な人権侵害を強く非難する決議を、賛成627票、反対26票、棄権31票で採択しました。
決議は、同国の人権侵害を告発しようとする人権活動家やジャーナリストなどに対するあらゆる脅迫や暴力を非難しています。フィリピン当局に対し、労働組合活動家、人権擁護者、メディア関係者など団体や個人を「レッドタギング」(共産主義者のレッテルを貼る)をしないよう求めています。
そのうえで、フィリピン当局に対し、超法規的殺害などの人権侵害を徹底的に調査するよう求めるとともに、表現の自由の権利を尊重し、ジャーナリストが恐れずに活動できるようにすることを要請しています。ノーベル平和賞受賞者のマリア・レッサさんをはじめとするすべての独立系ジャーナリストに対する迫害を停止するよう求めています。
その決議に対して、フィリピン外務省 は2月20日、決議で提起された疑惑は不公平でほとんど根拠がない、と反発する声明を出しました。
声明は、欧州議会に対し、正当な市民社会組織を装って過激な活動をしている団体よりも、もっと信用にたる情報源に耳を傾けるよう助言するとしています。
麻薬戦争を進めるドゥテルテ大統領に対して、国際刑事裁判所(ICC)は2021年9月、「人道に対する罪」の疑いで正式に捜査することを決めています。しかし、フィリピン政府がどこまで捜査に協力するのか不透明です。
<出典>
The recent human rights developments in the Philippines
European Parliament (17 February 2022)
Statement on the European Parliament Resolution on the Philippines and the Remarks of MEP Heidi Hautala
DFA Philippines (20 February 2022)
(2022年02月24日 掲載)