ミャンマーの人権状況に関する国連特別報告者トム・アンドリュースさんは2月22日、ミャンマーの軍事クーデター以降、市民に向けて使用された武器を輸出した安全保障理常任理事国の中国とロシアを含む3ヵ国を特定する"Enabling Atrocities"(残虐行為を可能にする)と題する報告書を人権理事会に提出しました。
アンドリュース特別報告者は、武器輸出国に対し武器売却を直ちに停止するよう訴えるとともに、安保理の緊急会合を開き、ミャンマー軍が市民を攻撃し殺害するために使用している武器供与を禁止する決議案を協議し採択するよう促しました。
クーデター以降のミャンマーに武器を供給している国連加盟国として、中国、ロシア、セルビアを特定しています。
報告書はまた、ミャンマー軍の少数民族ロヒンギャに対する残虐行為が広く知られるようになり、国連事実調査団が即時武器禁輸を求めた2018年以降に武器供与を許可した国の名前、およびミャンマー国軍に渡された武器の種類や量も記載しています。
「2021年のクーデター以来、軍事政権が残虐行為を平然と行っている証拠があるにもかかわらず、国連安保理常任理事国のロシアと中国は、ミャンマー軍事政権に多数の戦闘機や装甲車を提供しており、とりわけロシアの場合はさらなる武器の提供を約束している。同時期、セルビアはミャンマー軍へのロケット弾と大砲の輸出を許可している」と特別報告者は述べています。
2021年6月、国連総会は、加盟国に対し、ミャンマーへの武器流入の防止を求める決議を採択しました。
特別報告者は、「この決議が、市民への攻撃を続ける独裁政権に対して、目に見えるかたちの影響力を行使できなかったため、怒りと絶望が広がっている」と述べ、「加盟国と安保理は、軍事政権への武器売却を止めるために緊急に行動することが不可欠である。人命と安全保障理事会の信頼がかかっている」と強調しています。
<出典>
https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=28142&LangID=E
Myanmar: UN expert urges Security Council resolution to stop weapons fueling spike in military attacks on civilians :New report reveals weapons transfers to military junta by UN Member States (22 February 2022 OHCHR)
https://www.ohchr.org/EN/HRBodies/SP/CountriesMandates/MM/Pages/SRMyanmar.aspx
Special Rapporteur on the situation of human rights in Myanmar:Enabling Atrocities: UN Member States' Arms Transfers to the Myanmar Military (OHCHR)
(2022年02月25日 掲載)