国連人権理事会は3月4日、ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナの人権状況を調査するための独立委員会を設置する決議案を賛成多数で承認しました。
ウクライナから提出された決議案は、ロシアの攻撃は人権侵害であり、国際人道法違反だと強く非難し、人権状況調査の独立委員会を設置するというもの。また、ロシアに対して、ウクライナからの迅速な撤退、および人道支援を妨げないよう求めています。47の理事国のうち32カ国(日本を含む)が賛成票を投じ、 ロシアとエリトリアが反対し、中国、インドなど13カ国が棄権しました。
投票に先立ち、ウクライナのイエベニア・フィリペンコ大使は、出席者に「ロシアの侵略に起因する」ウクライナのすべての犠牲者のために黙祷するよう呼びかけました。それを受け、理事会の審議は一時停止し、理事国メンバーは1分間の黙祷を行いました。
一方、ロシア代表のユスティノフ参事官は、「先ほど1分間の黙祷が行われたが、我々はこのような黙祷に反対しているわけではない」と述べたうえで、「外交官や国連代表をはじめ、ここにいるすべての人々が、ウクライナ当局によって殺され、傷つけられた何千人もの人々を最終的に思い出してくれることを望んでいる」と述べました。
ユスティノフ氏は、調査委員会の設置を拒否し、「単なる資源の無駄遣いであり、ウクライナの民間人を助けるために使った方がよい」と話し、「この決議案の共同提案者は、手段を選ばずに事態をロシアの責任に帰そうとしている」と主張しました。
<出典>
Human Rights Council to establish Commission of Inquiry on Ukraine
(2022年03月07日 掲載)