出入国在留管理庁(在留管理庁)は5月13日、2021年の難民認定者数を前年から27人増加の74人だったと発表しました。難民と認定しなかったものの人道上の配慮から在留を認めた人数は580人(前年比536人増)。いずれも難民認定制度が始まった1982年以来で過去最多でした。いずれもミャンマー人が多くを占めており、2021年2月に起きた国軍によるクーデターが影響しています。
難民認定者74人の国籍別内訳はミャンマー32人、中国18人、アフガニスタン9人、イラン4人、イエメン3人、ウガンダとカメルーンが各2人、イラク、ガーナ、パキスタン、南スーダン共和国が各1人。ミャンマー人の認定は過去3年間はゼロでしたが、クーデター発生により、難民条約が定義する「迫害を受ける恐れ」に該当すると判断された人が増えています。
また、人道的配慮で在留が認められた580人のうち525人は「母国情勢」が理由で、9割超の498人はミャンマー人でした。
全国難民弁護団連絡会議、在留管理庁の発表を受け声明を公表:
難民条約の趣旨と目的に沿った難民認定制度の改正を
在留管理庁の発表を受けて、全国難民弁護団連絡会議(全難連)は同日、「入管庁発表『令和3年における難民認定数等について』を受けての声明」を発表しました。声明は、難民認定者数が「前年比 27 人増とされているが、本国の情勢から当然に保護されるべきミャンマーの 32 人を除いた人数は 42 人であり、保護されるべき難民が十分に保護されない極めて厳しい状態が続いている」と述べています。
声明はまた、人道的配慮で在留を認められた人はミャンマー人以外では 82 人にとどまったことについて、「人道配慮によっても保護されるべき者が十分に保護されていない」としています。
ミャンマー人に対する人道配慮に関して、在留管理庁が2021年5 月 28 日に開始した「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」に基づき、在留を先行して認めた者が42 人であることに関して、「それ以外の人道配慮の 456 人については保護の態様が判然とせず、緊急避難措置を受けたにすぎない人数も相当数含まれている可能性があり、人道配慮の実態とはかけ離れているおそれがある」と懸念しています。
さらに、声明は依然として難民審査の処理期間が長くかかることをあげるとともに、難民審査参与員による不服申立て手続きで難民として保護されたのは 9 人にとどまったことを憂慮しています。
全難連は、難民条約の前文で述べられているような人間の基本的な権利や自由を保護するという姿勢に照らし、今後も、難民条約の趣旨と目的に沿った難民認定制度の抜本的な改正とともに、運用の改善を強く求めていく、と述べています。
<出典>
https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/07_00027.html
令和3年における難民認定者数等について
(2022年5月13日、出入国在留管理庁)
http://www.jlnr.jp/jlnr/?p=7340
声明・提言等(2022年5月13日)全難連より「入管庁発表『令和3年における難民認定数等について』を受けての声明」を発表しました。
(2022年5月13日、全国難民弁護団連絡会議)
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/10_00036.html
本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置
(2021年5月28日、出入国在留管理庁)
(2022年05月17日 掲載)