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フジ住宅による「ヘイトハラスメント」裁判の原告勝訴確定(9/8)―「ヘイトハラスメント裁判を支える会」報告集会を開催

 東証プライム(旧「一部」)上場会社であるフジ住宅株式会社に勤務する在日コリアン女性が、民族差別的な文書の配布などが行われたとして、会社と会長に対して提訴した裁判は2022年9月8日に最高裁による被告らによる上告棄却・不受理決定によって原告勝訴で確定した。
原告は、社内で民族全体を嘘つき呼ばわりするような侮蔑的な文言や「在日は死ねよ」などの表現を含んだヘイトスピーチ文書の配布、そして政治的活動への強制的な動員などが行われたとして、2015年8月に会社と会長に対して提訴したが、確定した大阪高裁の判決は、原告への132万円の損害賠償の支払いとヘイト文書に該当する資料配布の差し止めであった。
 これを受けて、提訴から7年以上にわたり、原告を支えてきた「ヘイトハラスメント裁判を支える会」(事務局:NPO法人多民族共生人権教育センター、以下「支える会」)が9月11日に大阪市内で「勝訴確定報告集会」を開催した。
 原告の女性は、「パート職員で在日コリアン女性の立場である自分が、裁判で思いをぶつけることができたことを喜ばなあかん」とまず長い裁判をふりかえった。また集会で配布された原告のメッセージには、「支える会」のメンバー、弁護団をはじめ多くの人たちの支援があったからここまで頑張れたという深い謝意や、この判決が多くの企業や労働現場で生かされ、一人ひとりの人権が尊重されて働くことができる社会の実現につながってほしいという願いが書かれていた。
 村田浩治弁護団長からは、確定した高裁判決についてあらためて2点の意義が説明された。1点目は、使用者の職場環境配慮義務について具体的に示され、差別を蔓延させない職場にする使用者の義務が認められたことである。2点目は、企業が企業内で配布した文書についてはじめて配布行為の差し止めを言い渡ししたことである。それは表現の自由の制約とのからみで、配布自体が差別を助長する類型に限定しての禁止であった<詳細は、「「フジ住宅事件」原告勝訴の高裁判決の意義:人種差別撤廃条約を国内法の解釈に生かし、差別文書の配布の差し止めを認める」『部落解放』819号(解放出版社、2022年3月参照)>。
今後の「支える会」の活動であるが、高裁判決が確定したことで、ヘイトハラスメント裁判は正式に終了し、「原告」は、「元原告」の立場になる。これからもフジ住宅で働き続ける元原告を、どのように支えていくのか、会の名称を含めて、「支える会」が運動を通じて蓄積してきたノウハウ、ネットワークを、どのように継承していくのか、この裁判で支援してきた人たちとともに考える場を持ちたいと「支える会」の文公輝(ムン・ドンフィ)事務局長が語った。
 最後に、モルガン・スタンレー・グループを相手取って、レイシャルハラスメントに対する損害賠償と解雇無効を訴えて裁判をしている原告の韓国籍の男性が、東京から集会にかけつけて支援を求めるアピールが行われた。

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「支える会」の活動報告をする文公輝(ムン ゴンフィ)事務局長

参考:「フジ住宅による「ヘイトハラスメント」裁判、2審(大阪高裁)も原告勝訴 ―企業の人権尊重の責任は?」(ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ、2021年12月)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section1/2021/12/-1118.html

「ヘイトハラスメント裁判を支える会」ウェブサイト
https://moonkh.wixsite.com/hateharassment

「モルガン・スタンレー」レイハラ解雇裁判を支える会ウェブサイト
https://moonkh.wixsite.com/msg-racialharassment

(2022年09月15日 掲載)