2020年11月に熊本県の自宅で死産した双子の遺体を遺棄したとして、死体遺棄罪に問われている元技能実習生のベトナム人のレー ティ トゥイ リン被告の上告審で、最高裁は検察側と弁護側の意見を聞くための弁論を2023年2月24日に開くと決めました。リン被告の無罪主張を退けて有罪とした福岡高裁の判断が見直される可能性があります。
被告は、死産した男児2人の遺体をタオルに包み、部屋にあった段ボール箱に入れ、2人に付けた名前やおわびを書いた紙を箱に同封していました。「後で自分で埋葬するつもりだった」と一貫して無罪を主張しています。当時、「妊娠がわかれば帰国させられる」と考えたリン被告は周囲には相談しないまま翌日に病院を受診し、死産が発覚しました。
2021年7月の熊本地裁は、「死産を隠し、国民の一般的な宗教的感情を害する」として懲役8ヵ月・執行猶予3年を言い渡しました。2022年1月の福岡高裁の判決では、遺体を置いたままにしたのは1日程度で「遺棄」ではないと判断したものの、二重に段ボール箱に入れテープで封印した行為は死体遺棄罪にあたるとし、懲役3ヵ月・執行猶予2年へと減刑しました。
弁護側は、無罪を主張して上告し、流産・死産を含む出産経験のある女性などから無罪判決を求める127通の意見書と多数の署名を最高裁に提出していました。リン被告は現在、在留資格を「特定技能」に変更し、新しい就労先の農家で働いています。
<参照>
http://www.kumustaka.org/TITP/2022.12_TITP.html
リンさんの刑事裁判で無罪判決へ向けた最高裁判所の扉が遂に開きました
2022年12月9日 (コムスタカ―外国人と共に生きる会)
http://www.kumustaka.org/TITP/2022.5_TITP.html
ベトナム人技能実習生リンさんの最高裁上告審に関する資料 (コムスタカ―外国人と共に生きる会)
(2022年12月12日 掲載)