2016年2月の国連女性差別撤廃委員会にNGOとして参加したマイノリティ女性に対し、杉田水脈さんは「日本国の恥晒し」ではじまるブログやfacebookで「...チマチョゴリやアイヌの民族衣装でのコスプレおばさん」「完全に品格に問題がある」などと書いた記事を6年以上掲載していました。これが最近になって人権問題であるとして国会での追及や報道がなされ、衆議院議員であり総務大臣政務官であった杉田さんは、2022年12月27日、政務官は「辞任」しました。
マイノリティ女性フォーラム(事務局:反差別国際運動(IMADR))やERDネットなどが、2022年12月中旬から「『ヘイトスピーチ、許さない。』〜杉田水脈議員に謝罪を求めます!」の団体、個人の賛同署名を募っていましたが、2月7日に、154団体と52,655筆のオンラインでの賛同署名を法務省人権擁護局に手渡し、その後、記者会見をおこないました。
この二つのアクションに、被害を受けたアイヌ女性や在日コリアン女性当事者、IMADRやERDネットのメンバー、福島みずほ参議員議員、当時、参議院議員で女性差別撤廃委員会に参加していた糸数慶子さんらが参加しました。それぞれの立場で、杉田発言が侮辱的で差別であり、ヘイトスピーチであることなどを認めるよう求めました。
要請文と署名者名簿は、アイヌ女性の多原良子さんから杉浦直紀総務課長に手渡されました。杉浦課長は、5万筆を超える署名の重さを受けとめるとしながらも、差別であるとは言いませんでした。アイヌ女性、在日コリアン女性たちは、自分たちがマイノリティであり、女性であることの複合差別を受けながらもなかなか解決されない苦しさを語り、杉田発言がまさに差別であり、自分たちの尊厳に対する否定であると訴えました。
2月10日には、在日コリアン女性3人が、大阪法務局人権擁護部を訪れ、「人権侵犯被害」の申告をおこないました。被害の内容として、上記の侮蔑的で差別的な表現、その文中に掲載された無断撮影の写真、ツイッターでの無断撮影の写真の拡散、さらには書籍での無断撮影の写真掲載と不適切な写真キャプションなどです。被害者たちは、記者会見時と同様に、杉田水脈さんからの直接の謝罪と一連の表現がヘイトスピーチであることを認めてほしいと求めています。
さらに窓口担当者に対し、6年以上自分たちがおとしめられ、サイトに拡散された怒りと恐怖を感じながらも黙らざるをえなかったこと、大阪が民族衣装を堂々と来て歩ける街になってほしいこと、法務省の啓発ポスター「ヘイトスピーチ、許さない」にふさわしい対処をしてほしいことなどを切々と述べました。大阪法務局は、今後、内容を検討して関与するかどうかを決めるとのことです。
参考資料:反差別国際運動 https://imadr.net/petition-pressconference-notohatespeech/
(2023年02月14日 掲載)