政府が3月7日に上程した入管難民法改定案が今国会で審議されています。同法案は、2021年に国会提出後に廃案となった法案の大筋を維持しており、迫害を受ける恐れがある人たちの送還を従来以上に簡易に行ったり、退去令書を受けても日本に家族がいるなどの事情で出身国に戻ることを忌避する人たちに対して刑事罰を加えるなどの条文を盛り込んでいることから、人権が保障されない改悪法案だと市民社会から今回も強い批判と廃案を求める声が高まっています。
移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、全国難民弁護団連絡会議などによる「STOP! 長期収容」市民ネットワークは改定法案の問題点をわかりやすく解説するウェブサイトを開設し、反対声明を出すとともに、国会や政府に向けて国会採択をやめるよう求めるネット署名などを展開しています。
さらに、市民の声を国会に届けようと、4月13日から法務委員会の開催にあわせて、国会前で連日、シットインを続けています。
国際法の専門家など研究者の有志425人は4月17日、改定法案に反対する声明を出しました。日本が5月のG7広島サミットで議長国を務めることから、日本も締約国である自由権規約や拷問等禁止条約、難民条約などをはじめとする国際人権基準に則った国会審議を要求し、「廃案にする可能性も含め、抜本的な再検討が喫緊の課題である」と提言しています。
声明は、日本の難民認定率が他の国と比べて極端に低いことを指摘したうえで、改定案では現状を改善しないまま、3回以上の難民申請者については強制送還ができるようになるため「迫害からの保護が必要な人を本国に送還するリスクがある」と批判しています。
また、入管施設収容についても、収容期間の上限がなく、拘束について裁判所の許可を経ずに入管だけで決定していることなどの問題点を批判しています。
そうしたなか、日本弁護士連合会、および都道府県の弁護士会の多くが法案に反対する会長声明などを発出しています。
<参照>
https://www.openthegateforall.org/p/top.html
Open the Gate for All 移民難民・難民の排除ではなく、共生を(「STOP! 長期収容」市民ネットワーク)
https://note.com/calm_elk147/n/n917edf7b5486
入管法改正案について、G7 議長国として国際人権基準に則った審議を求める研究者声明(2023年4月17日)
https://note.com/calm_elk147/n/nb48a630eff40
【賛同者一覧】入管法改正案について、G7議長国として国際人権基準に則った審議を求める研究者声明
https://note.com/calm_elk147/n/nbbb0364b5c35
G7比較表、入管法改正案について、G7 議長国として国際人権基準に則った審議を求める研究者声明【付属資料】
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2023/230309.html
出入国管理及び難民認定法改正案に反対する会長声明(日弁連、2023年3月9日)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section4/2023/03/202137.html
入管法改定案が国会に-2021年廃案内容の骨格を維持(3/7)ヒューライツ大阪
(2023年04月20日 掲載)