フィリピン政府系のニュース配信メディアPNAなどによると、マルコス・ジュニア(Jr)大統領は、第二次世界大戦中に日本軍によって性奴隷とされたフィリピン人女性のニーズに応えるよう政府関係機関に指示するとともに、女性のエンパワメント、ジェンダー平等、「血の通ったインクルーシブな社会」づくりへの政権の強い決意を強調しました。
マルコスJr大統領は5月13日に発表した声明で、NPO「マラヤ・ロラス」(自由な祖母たち)のメンバー24人による補償、社会的支援、性奴隷のサバイバーであると認知することなどを求める訴えに対して、フィリピン政府として適切な措置をとると約束しました。
「私は、マラヤ・ロラスの要請に適切に対処する施策を検討するよう、政府関係機関に指示した」と述べました。「マラヤ・ロラスの関心事項について、フィリピン政府は国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の見解に基づく行動をとろうとしている」。
大統領の声明は、女性差別撤廃委員会が3月8日に、被害者たちに「継続的な差別に対する賠償と公式謝罪を含む完全な補償」を行うようフィリピン政府に要請する勧告を出しましたが、それを受けたものです。
「マラヤ・ロラス」は、日本政府に補償請求するようフィリピン政府に対して繰り返し求めてきたものの、行動を起こさなかったことから、2019年に女性差別撤廃委員会に通報していました。
フィリピン政府は今回の声明に先立ち、女性差別撤廃委員会の勧告を精査し、女性差別撤廃条約の選択議定書に規定されているように、委員会が送付した勧告の受理から6箇月以内に委員会に見解を提出することを表明しています。
勧告にはサバイバーの女性たちに補償する政府系財団の設置が明記されており、もし財団が設置されることになれば、日本政府が資金を拠出するかどうか議論になりそうです。
<出典>
https://www.pna.gov.ph/articles/1201428
PBBM orders gov't agencies to address concerns of 'comfort women'
May 13, 2023(Philippine News Agency)
<参照>
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section4/2023/03/38.html
女性差別撤廃委員会、フィリピン政府に日本軍性奴隷制被害者の継続的な差別と苦しみに対する救済を勧告(3/8)ヒューライツ大阪
(2023年05月26日 掲載)