世界人権宣言75周年を記念する国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の「ヒューマンライツ75」イニシアティブでは、「テーマ別スポットライト」として、具体的かつ緊急に行動が必要な人権問題を毎月取り上げています。6月は、多様な女性の意思決定への参加と意思決定の場へのアクセスの確保がテーマとなりました。以下はその概要です。
女性の意思決定への参加は、それ自体が人権であり、女性の権利が尊重され、女性の意見が反映された公的な意思決定をするために不可欠です。ジェンダー平等の実現と女性の権利の保障のために、すべての女性、特に、ジェンダーと障害のアイデンティティの交差性の影響を受ける、障害のある女性の参加が重要となります。
こうした交差性を持つ人々の人権のために活動する国際NGO、Women Enabled International(WEI)は、世界の女性の5人に1人が障害者であるにもかかわらず、議論の場に物理的にアクセスできない、手話通訳がない、資料がアクセス可能なフォーマットではないといったことが理由となり、意思決定への参加から障害者が除外されることが多くあると指摘しています。
障害者権利条約の第9条は、障害者が施設やサービス等を利用する際の障壁をなくしてアクセシビリティを確保することを定めています。建物や交通機関、情報や通信等にアクセスする権利は、障害者にとって、社会参加を含む多くの権利を享受するために重要となります。
会議やイベントの主催者が、障害者の参加を可能にするためのアクセシビリティに関する知識を持っていなかったり、アクセシビリティを確保するための資金が不足していたり、障害のある女性やその代表組織とのコミュニケーションがなかったりすることで、障害者、特に障害のある女性の意思決定への参加が妨げられています。
ジェンダー平等を目指して活動する障害者の活動家グループ、Inclusive Generation Equality Collective(IGEC)は、女性、トランスジェンダー、インターセックス(身体的性が女性・男性の中間、またはどちらとも一致しない人々)、ノンバイナリー(性自認が女性・男性のどちらにも当てはまらない、または当てはめることを望まない人々)の障害者がジェンダー平等の議論や意思決定の場にアクセスでき、そうした場における人々の包摂のために遵守すべき手順(フェミニスト・アクセシビリティ・プロトコル)を提唱しています。国、市民社会組織、国連に対して、会議やイベントの計画から実施、終了後のすべてのプロセスにおけるアクセシビリティと包摂を呼びかけています。
<出典>
<参考>
(2023年06月28日 掲載)