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戦闘開始から100日‐イスラエルとパレスチナ被占領地の状況に関して人権高等弁務官事務所が声明(1/12)

 2023年10月7日にイスラエルと、ハマスおよびパレスチナ武装グループとの軍事衝突が始まって以来100日目となる2024年1月14日を前に、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のスポークスパーソンのリズ・スロッセル氏は1月12日に以下の声明を発表しました。

 ハマスとパレスチナ武装グループがイスラエルへの恐るべき攻撃を開始し、おもにイスラエル人1200人が死亡、約250人が人質に取られて以降、1月14日で100日目となる。
過去14週間、イスラエルが大規模かつ破壊的な軍事行動を展開した結果、23,000人以上のパレスチナ人が殺害され、その約3分の2は女性と子どもであった。ガザ地区では、住宅、病院、学校、パン屋、礼拝所、水道設備、国連施設など、民間インフラが広範囲にわたって損壊あるいは破壊された。
 フォルカー・テュルク人権高等弁務官が繰り返し求めているように、人権と人道的見地から、即時停戦が必要である。恐ろしい苦しみと人命の損失に終止符を打ち、衝撃的なレベルの飢餓と病気に直面している人々に、迅速かつ効果的な人道支援の提供を可能にするための停戦が急務である。

これまで以上に緊急の課題である
 敵対行為の遂行に関して、私たちは、イスラエルが国際人道法の基本原則である「戦闘員と文民との区別」「比例原則」「攻撃実施の際の予防措置」に幾度も違反する行為を行っていることを繰り返し強調してきた。人権高等弁務官は、これらの義務違反が戦争犯罪の責任を問われる可能性があることを強調するとともに、他の残虐な犯罪の可能性についても警告してきた。
 イスラエルによる空、陸、海からの激しい砲撃は、ガザ地区の大部分、特にデイル・アル・バラとハーン・ユーニスで続いている。
 イスラエル軍は、国際法に基づく義務に従い、民間人を完全に保護するための措置を直ちに講じなければならない。民間人に移転を命じているからといって、イスラエル軍が軍事作戦を遂行する際、理由の如何にかかわらず、残っている人々を保護する義務から免れることにはならない。
 何百人ものパレスチナ人が、ガザ内外のいくつかの不明な場所に恣意的に拘束されていると伝えられている。これは多くの場合、強制失踪に等しい。釈放された人々の中には、イスラエル軍による虐待や拷問の被害を訴える者もいる。イスラエルは、ガザ地区におけるパレスチナ人の恣意的な拘束、拷問、不当な扱い、強制失踪を直ちに終わらせ、そのような行為を独立的かつ効果的に調査し、加害者を訴追し、再発を防止しなければならない。
 ガザ北部では絶望的な状況が展開されており、人々は食料や水、その他の基本的必需品が極度に不足する事態に直面している。国連がイスラエル軍に対し、人道支援の車列の移動を容易にするよう繰り返し要請しているにもかかわらず、人道支援物資へのアクセスは極めて困難なままである。
 ガザ南部の状況も手に負えなくなっており、戦闘の激化以前には30万人が住んでいたラファに、130万人以上の国内避難民が押し込められている。
 一方、パレスチナの武装グループはイスラエルに向けて無差別にロケット弾を発射し続けている。イスラエル当局によると、ガザ地区では現在も約136人がパレスチナ武装グループに拘束されている。
 東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区において、2023年10月7日から2024年1月10日までに、84人の子どもを含む330人のパレスチナ人が死亡したことを国連人権事務所は確認している。このうち321人はイスラエル治安部隊に、8人は入植者に、1人はイスラエル軍か入植者によって殺害されている。これと並行して、牧畜民のコミュニティ全体が入植者の暴力によって強制的に移転させられている。
 ヨルダン川西岸地区に関する2023年12月の報告書で私たち人権高等弁務官事務所が強調したように、法執行活動における軍事的な武器使用や行為を直ちにやめ、パレスチナ人の恣意的な拘束や虐待を中止し、差別的な移動制限を撤廃する必要がある。不法な殺害に対する説明責任の欠如は、入植者の暴力に対する不処罰とともに、ヨルダン川西岸におけるパレスチナ人の安全を確保する占領国としてのイスラエルの義務に違反しており、その事態は依然として蔓延している。
 パレスチナ被占領地における国連人権事務所は、ガザ地区とヨルダン川西岸における人権状況の監視と記録を続けている。私たちは、2024年2月下旬に始まる国連人権理事会の会期中に、説明責任と入植に関する2つの報告書を提出する予定である。
 また私たちは、すべての当事者による人権侵害を調査するため、国連人権事務所の職員がイスラエルおよびパレスチナ被占領地全域にアクセスできるよう改めて要請する。

<出典>
https://www.ohchr.org/en/press-briefing-notes/2024/01/israel-occupied-palestinian-territory-situation-100-days
Israel -Occupied Palestinian Territory situation, 100 days on(OHCHR)
12 January 2024

<参照>
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section4/2023/12/post-36.html
『ガザ地区問題と西側政治』―我々にも迫る危機― 小田切拓(おだぎり ひろむ)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section4/2023/11/1028.html
国連人権高等弁務官事務所・ニューヨーク事務所長が、退任前にイスラエルによるガザへの軍事作戦をめぐる国連の対応に批判的な書簡をテュルク人権高等弁務官に送付(2023.10.28)

(2024年01月17日 掲載)