MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

  1. TOP
  2. 資料館
  3. ニュース・イン・ブリーフ
  4. 「持続可能な開発のための安全・安心で信頼できるAIシステムに関する決議」が国連総会で採択される(3月21日)

ニュース・イン・ブリーフ サイト内検索

 

Powered by Google


ニュース・イン・ブリーフ Archives


「持続可能な開発のための安全・安心で信頼できるAIシステムに関する決議」が国連総会で採択される(3月21日)

 国連総会は2024年3月21日、「持続可能な開発のための安全・安心で信頼できるAIシステムに関する決議」を無投票による全会一致で採択しました。以下では、人権と企業活動に関連する内容に焦点を当てながら、決議の概要を紹介します。

 決議では、デジタル化への包摂的で公平なアクセスを確保することによって国家間と国内でのデジタル格差を解消すること、とくに途上国の課題にも技術や融資での支援を含めて公平に対処すること、安全・安心で信頼できるAI(人工知能)システムを促進してSDGsが含まれる「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の達成を加速させること、民間企業、国際機関、市民社会、メディア、アカデミア等のマルチステークホルダーアプローチを重視すること、などの課題を詳細に述べたあと、次のように人権と基本的自由を尊重することを求めています。

●人権と基本的自由の尊重
 AIシステムのプロセス全体を通じて、人権と基本的自由が尊重され、保護され、促進されなければならないことを強調する。国際人権法を遵守する運用ができないような、またとりわけ脆弱な状況にある人々の人権の享受に不当なリスクをもたらすようなAIシステムの使用を控える、または停止することを、すべての加盟国と、該当する場合にはその他のステークホルダーに呼びかける。また、オフラインで人々が享有する権利と同じ権利が、AIシステムのプロセス全体を通じてオンラインでも保護されなければならないことを再確認する。

 決議ではさらに、誰一人取り残さないように経済・社会・環境の3つの側面で持続可能な開発を達成するという大きな課題に、とりわけ途上国に配慮しながら対処するために、安全・安心で信頼できるAIシステムを包摂的で公平な方法で促進できるような環境を醸成することを、すべての加盟国に求めています。具体的には、AIシステムの脆弱性とリスクを特定・評価・予防・緩和するための技術革新を促進すること、市民によるAI利用の能力や限界についての理解を高めること、AIシステムの安全性を高めるための投資を強化すること、あらゆる形態の差別・偏見や誤用などから個人を保護するための国際的な枠組みを促進すること、著作権などの知的財産権を尊重するための保護措置を実施すること、などが含まれます。
 さらに、プライバシーと個人データを保護するための国際・国内枠組みの遵守、人権と基本的自由への潜在的な影響から完全かつ効果的に保護するための投資の強化、ジェンダー視点からのデジタル格差の解消の必要性などにも言及したあと、とくに企業活動に関して次のように言及しています。

●指導原則に則った対応の要請
 民間部門に対しては、国際法・国内法を遵守するとともに、国連ビジネスと人権に関する指導原則の「保護・尊重・救済」の枠組みに則って行動することを求める。安全・安心で信頼できるAIシステムへのより包摂的で公平なアクセスの重要性と、AIシステムのプロセス全体を通して公正でオープンな、包摂的で差別のないビジネス環境や経済活動を促進するために、官民及びアカデミア、研究機関、技術者などの協力関係を高める必要性を認識している。
 また加盟国に対しては、安全・安心で信頼できるAIシステムと関連技術における競争を促進する政策を策定すること、とりわけ途上国への投資を通じて、小規模企業や起業家が新たな機会を獲得してAI市場が公平な競争環境となるようにすることを求める。

<出典>

<参考>


(2024年04月16日 掲載)