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ビジネスと人権に関する行動計画推進作業部会がNAP3年目の議論のための報告書を提出

 2020年10月に公表された政府の「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)」(NAP)をめぐっては、現在2025年の改定に向けた議論がなされています。ビジネスと人権に関する行動計画推進円卓会議はNAPの「実施及び見直しに係る取組を広範な関係者が協力して推進していくため、関係府省庁と有識者や各界からの関係者との継続的な対話の場」(開催要綱)として政府が設置したものですが、その第6回会合(2024年3月15日)では、「『ビジネスと人権』に関する行動計画の3年目意見交換のためのレビューに関するステークホルダー報告書」が、「円卓会議」のもとに設置されているビジネスと人権に関する行動計画推進作業部会から提出されました。
 この報告書は、政府からの「具体的な意見のまとめ」の依頼を受けて、2023年9月以降約半年間にわたるステークホルダー団体からの意見聴取と議論を経てまとめられたものですが、その経過と概要について報告書では以下のように説明されています。

「ステークホルダーが、NAP策定時からの共通要請事項を基礎に置きながら、NAP 策定後の日本および国際的な動向、さらには日本における『ビジネスと人権』課題の全体像を踏まえて、重要だと考える7つの個別施策テーマからレビューを行い、共通意見を取りまとめたものである。」

「『ビジネスと人権に関する行動計画推進作業部会』を構成するステークホルダーが、NAPの3 年目レビューに際して共通認識として有する3点、すなわち、①意見交換にあたって重要だと考えるポイント、②NAPの前提となる日本における「ビジネスと人権」に関する重要課題の特定に向けた考え方、③個別施策テーマに関する政府への共通要請を、NAP改定を見据えながら、提案するものである。」

具体的には、NAP3年目の議論での重要な視点として、

    • 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を基礎に置くこと
    • 国内外での指導原則の実施を踏まえて日本が直面する課題を考えること
    • インパクト評価とステークホルダーとの協議に基づいたレビューとすること

の3点を確認した上で、以下の個別施策テーマについて詳細なレビューがなされています。

    1. 人権デュー・ディリジェンス及びサプライチェーン
    2. 「誰一人取り残さない」ための施策推進(ジェンダー平等や外国人労働者の保護など)
    3. 指導原則の実施を推進する能力構築(人権教育・研修および支援・助言)のための仕組みづくり
    4. 企業の情報開示
    5. 公共調達
    6. 救済へのアクセス
    7. NAP実施・モニタリング・改定の体制整備

 「円卓会議」の議事要旨によると、「作業部会」から提出されたこの報告書は「円卓会議」の報告書として「了承」され、今後、NAPの改定作業に向けてこの報告書を「議論の土台」とし、関係府省庁の意見が報告書には含まれていないため、「報告書に盛り込まれた提言を踏まえ、今後、関係府省庁連絡会議で3年目意見交換を実施」するとされています。
 こうして、報告書の内容は、NAPの改定に向けた議論の枠組みとして、今後、企業にも、また企業活動から影響を受ける市民・消費者にも、NAPの改定とそれに基づく政府の施策を通じて影響を及ぼしていくと思われます。

<出典>

<参考>


(2024年05月10日 掲載)