税金や社会保険料を故意に納めなかったり、執行猶予を含む軽微な罪に問われた場合などに永住者としての在留資格の取り消しを可能にする条文を盛り込んだ出入国管理及び難民認定法の改定案が2024年6月14日の国会で可決されました。
そうしたなか、国連人種差別撤廃委員会が6月25日付で、その「早期警戒と緊急手続き」のもとで、永住資格取り消しに対して懸念を示し、日本政府に8月2日までに回答を求める書簡を送付しました。
この手続きは、同委員会が人種差別撤廃条約への深刻な違反が広がらないよう、緊急に注意や措置を必要とする問題に対応するために設けたもので、実施されるアクションは強い順にdecisions(決議)、statements(声明)、letters(書簡)の三通りあり、今回のアクションは「書簡」です。
書簡によると、委員会は日本の市民社会組織が指摘する多くの懸念を受けとめ、入管法の改定が永住者の人権にとって人種差別撤廃条約のもとで保護される諸権利への不均衡な影響を及ぼすことに憂慮しています。
そのうえで、委員会が採択している一般的勧告30「市民でない者(外国籍者)に対する差別」に言及し、法律(改定入管法)の施行が市民でない者に対して差別的な影響を及ぼさないこと(パラ7)などを求めています。
そして、委員会は、日本政府に対して改定案の見直しや廃止を行う予定などについて8月2日までに回答するよう要請しています。
<出典>
https://www.ohchr.org/en/treaty-bodies/cerd/decisions-statements-and-letters
Decisions, statements and letters(Committee on the Elimination of Racial Discrimination)
<参照>
https://migrants.jp/news/office/0701.html
永住許可取消し制度について、国連人種差別撤廃委員会(CERD)から日本政府に対して、見直し・廃止を含む緊急措置を求める書簡が出されました!
(移住者と連帯する全国ネットワーク)2024年7月1日
https://www.hurights.or.jp/archives/opinion/2004/03/post-4.html
人種差別撤廃委員会一般的勧告30 (2004)市民でない者に対する差別(ヒューライツ大阪)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section4/2024/05/523.html
永住資格取消制度の導入に「永住者」が口々に不安を語る-大阪で緊急集会(5/23)
(ヒューライツ大阪)
(2024年07月05日 掲載)