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国連人権高等弁務官がビジネスと人権の推進における国内人権機関の役割を強調

 2024年5月28日に国連ビジネスと人権作業部会が発表した2023年の訪日調査報告書における日本政府に対する勧告に、国内人権機関の設立が含まれていました。国内人権機関は、政府から独立した、人権侵害の救済、人権保障および人権教育のための公的機関です。国連加盟国は同機関の設立が求められており、日本政府は長年にわたり国連から勧告を受けています。
 5月8日にはフォルカー・トゥルク国連人権高等弁務官が、各国の国内人権機関の連合体である「国内人権機関世界連合(Global Alliance of National Human Rights Institutions:GANHRI)」の年次会合にてスピーチを行い、ビジネスと人権の推進における国内人権機関の役割について言及しました。以下は、その概要です。

 分断と格差が拡大し貧困が深刻化するというグローバルな危機に直面している時代において、国内人権機関が果たす役割はこれまで以上に重要となっています。紛争が国や地域を破壊して国際的な安全保障を脅かし、気候変動がさらなる災害を呼び起こして、生成AIによる脅威が大きな不安を生み出しています。一方で、こうした危機から私たちを守るはずの統治機構への信頼は崩れつつあります。
 国際的な人権の枠組みは、国家を念頭に発展したものではありますが、社会を構成するあらゆる人々や組織にそれぞれの役割を果たす責任を課しています。誰もが人権のための活動に参加することができ、また参加しなければならないということです。そこには企業も含まれています。国内人権機関は、企業との関係を育み、SDGs(持続可能な開発目標)にも根ざしたビジネスと人権の責任ある実践を強化する活動を進めています。

●企業による人権侵害への対応
 人権に関する規制や政策はどのようにすれば企業にとって効果的なものとなるのでしょうか。影響を受ける個人やコミュニティが必要な保護や支援を得られるようにするにはどうすればよいのでしょうか。そして、国内人権機関は、その固有の機能を活用して、こうした問題に取り組む企業をどのように導き、支援することができるのでしょうか。
 企業の人権尊重責任とその被害に対応していくことを各国の国内人権機関が2010年に誓約した「エディンバラ宣言」は、こうした対応において国内人権機関を支える強固な枠組みとなっています。また、国内人権機関は、企業の事業活動によって影響を受ける個人やコミュニティに対して効果的な救済措置を実施するという国の人権保護義務を確保するのに重要な役割を果たしているのです。

●指導原則と国内人権機関
 企業の人権尊重責任を確実なものとするために、企業の事業活動による人権侵害を防止、軽減、是正・救済することを求める国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を活用する国内人権機関の数が増えています。指導原則が求める人権への負の影響を防止・軽減するための人権デュー・ディリジェンスの実施を義務化する国内法の制定に向けた多くの国々の動きは歓迎すべきことです。
 EU(欧州連合)の「コーポレート・サステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令」は、大企業による人権リスクを管理し、軽減するための政治的な関与がなされた重要な一例となりました。各国の国内人権機関はこの流れを止めず、あらゆる国内法を指導原則にしっかりと沿ったものとするよう、強く要請します。

<出典>

<参考>

(2024年07月25日 掲載)