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ジェンダー平等を促進する「ヒューマンライツ・エコノミー」を国連人権副高等弁務官が求める

 2024年6~7月の人権理事会第56会期において、「ヒューマンライツ・エコノミー(人権を基盤とする経済)」と女性の権利に関するパネルディスカッションが開催され、ナダ・アルナシフ国連人権副高等弁務官は、社会に深く埋め込まれたジェンダーなどの不平等に支えられている無制限な経済成長を見直すべきであると訴えました。以下はその概要です。

●女性が直面している貧困と格差
 現在、世界の女性の10%以上が極度の貧困状態にあり、2030年には依然として8%にあたる3億4,200万人の女性が極度の貧困に苦しむことになります。また、48億人が新型コロナウイルス感染症のパンデミック前よりも貧しくなっており、特に影響を受けているのが、社会において弱い立場に置かれやすいアイデンティティを複数有することによる交差性や複合差別に直面している女性や少女です。
 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によれば、世界で約390万人の女性が経済活動への参加を阻む法的障壁に直面しており、女性の収入は男性1ドルに対してわずか77セントで、92カ国は同一価値労働同一賃金を義務付けていません。現在の経済に関する法的、政策的枠組みがジェンダー平等の達成を妨げており、法律、政策、制度に組み込まれた家父長制と企業の権力を特権化する一方で、女性と少女が経験する特有の課題や権利を認めていません。
 女性と少女はいまだに家族や近親者などのケアを担う人(ケアギバー、ケアラ―)として認識されており、若年者、高齢者、障害者を含む女性や少女が無償の介護、看護や身の回りの世話を過度に負担することにつながっています。国際労働機関(ILO)によれば、6億人の女性が家庭に対する責任を理由に労働に参加しておらず、無報酬のケアの76.2%を女性が担っており、その時間は男性の3.2倍となっています。

●ジェンダー平等を促進する経済システム
 社会に深く埋め込まれたジェンダーなどに基づく不平等に支えられている無制限の経済成長を今こそ見直す時です。経済・社会・環境政策の中心に人間と地球を据える「ヒューマンライツ・エコノミー」の実現に向けて、経済に対する考え方とマクロ経済政策に対するアプローチを転換する必要があります。
 「ヒューマンライツ・エコノミー」は、差別を撤廃し、実質的な平等、持続可能な成長、豊かさの分配を促進するために、構造的な障壁やその他の障害を取り除くことをめざしています。ジェンダー平等および女性と少女の権利を実現する経済システムには、各国および各国間における「ヒューマンライツ・エコノミー」の実施が不可欠なのです。

<出典>

<参考>


(2024年09月09日 掲載)