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国連特別報告者、「制裁およびビジネスと人権に関する指導原則」を発表(2/6)

 202526日、「人権の享受に対する一方的強制措置の否定的影響に関する国連特別報告者」は、「制裁およびビジネスと人権に関する指導原則(Guiding Principles on Sanctions, Business and Human Rights、以下、指導原則)」を発表しました。

 指導原則は、特定の国に対して政策変更を迫るために、国連安保理の決定に基づかない一方的制裁が国家によって用いられる傾向が拡大していることを認識し、特に一方的な制裁措置を執行するために課される二次的制裁(Secondary sanctions[1]に起因する過剰遵守(overcompliance[2]は、国家、企業、人道支援組織、個人などが必要な物資やサービスを調達するためのコストの上昇、配送の遅延、汚職やその他の越境犯罪のリスクの増大を招き、人道支援物資の提供に危険をもたらすと指摘しています。

 指導原則は、そのような制裁措置を講じる国家および(NATOEUのような)地域機関、そして制裁への遵守を期待される企業が、制裁の影響を受ける人々の人権の促進、保護、尊重を確保し、制裁環境における国際法上の義務を履行するための指針と基準を確立する目的で策定されました。

 指導原則は、国連安保理の決定に基づく制裁の適用および執行における人権の最低限の予防措置および保護基準について定めた上で、国連安保理の決定に基づかない一方的制裁を含む強制的措置が、国際的義務に違反しない範囲で実施される場合(報復措置)、あるいは国際法上の国家責任の規則に完全に適合した対抗措置として行われる場合を除いて国際法違反であるという原則を明確にしつつ、国家および地域機関が遵守すべき諸原則を示しています。

 また、指導原則は企業に対しても適用される原則も示しており、国際的に認められた人権を制裁措置の遵守を理由として侵害してはならないこと、医薬品や食料などの必需品の供給、重要なインフラ、環境、その他関連サービスの提供を妨げてはならないことを定めています。

参照
https://www.ohchr.org/sites/default/files/documents/issues/ucm/events/international-conf-sanctions-business-hr/gps-sanctions-business-hr.pdf


[1]制裁の執行手段として、制裁に違反したり、制裁対象との間接取引などを通じた制裁の回避、または回避を支援したとされる国家、個人、または法人に対して民事上あるいは刑事上の罰を課す措置。

[2]二次的制裁の違反による罰則のリスクを最小限に抑えるため、または制裁対象の国家、法人、個人との取引や何らかの関係を持つことで生じる評判リスクを回避するために、制裁の遵守を越えた対応を行うこと。

(2025年02月17日 掲載)