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ミャンマー:軍事行動により、大地震後の悲惨な人道状況がさらに悪化-人権高等弁務官事務所(4/4)

 ミャンマー中部で3月28日に起きた地震を受けて、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が2025年4月4日付で以下の声明を発表しました。

(ジュネーブ発)フォルカー・トゥルク人権高等弁務官は4月4日、ミャンマー国軍と国民統一政府(訳注:軍政に反対するミャンマー民主派勢力)による一時停戦の宣言を受けて、必要なすべての救援と人道支援の活動を制限せず、必要とするすべての人々にただちに届けるべきだと強調しました。
トゥルク人権高等弁務官は、次のように述べました。
 「すべての軍事行動を中止し、震災の被害を受けた人たちの救助に専念するとともに、人道支援団体のサポートを妨害しないことを強く求めます。この恐ろしい悲劇がミャンマーの包括的な政治的解決に向けた転機になることを期待します」
 3月28日にミャンマー中心部で起きた震災後も、ミャンマー国軍は継続して、反政府勢力に対する空爆による攻撃や軍事行動を続けていました。さらに、攻撃のいくつかは揺れが収まった直後に行われていたという報告が国連人権事務所に届いています。
 報告によると、ミャンマー国軍は被災した地域に戦闘機やドローンによる空爆、砲撃により、少なくとも53回の攻撃をおこないました。国軍は4月2日から一時停戦すると宣言したものの、それ以降に少なくとも14回の攻撃をおこなっています。
 ミャンマー国軍はまた、徴兵も続けています。救助活動に従事している健康な若者を強制的に徴兵しているという報告があります。
立ち入りが許可されている地域では人道援助を進めることができる一方、ミャンマー国軍は何年も人道援助や立ち入りを全国的に制限してきたため、ザガイン地域、バゴー地域、シャン州の大きな町をはじめ、多数の甚大な被害を受けた地域には、地域住民たちが自助活動をしていることを除いて、緊急人道支援が届いていないままです。
 軍にはある程度能力があるにも関わらず、差し迫った危機の中において、救命に必要な専門的な人員や設備、サービスなどが不足しています。
トゥルク人権高等弁務官はまた、次のように述べました。
 「現地からの情報では、被災した地域、特に軍の管理が及ばない地域では、救援活動が届かず、清潔な水、食料、医薬品などが不足し、壊滅的な人道状況をもたらしているといいます。クーデター以来、ミャンマー国軍の暴力に4年間さらされてきた市民の苦しみは、恐怖とショックが加わったことによりさらに増大しています」
 国軍によるインターネットと通信の遮断により情報にアクセスできないため、被災したコミュニティーと連絡を取って状況を把握することが大変難しくなっています。そのため、震災の被害は悪化しています。
 「市民が必要としている人道的な救助や保護は遅れることなく、制限を受けずにおこなわれなければなりません。数千人の政治囚が恣意的に拘禁され、ひどい状況に置かれたままになっています。収容施設が震災によってどのような影響を受けているか不明です。ただちに釈放すべきです」とトゥルク人権高等弁務官は語ります。
 国際的な調整メカニズムを整えて、ミャンマーの人たちに国際支援を届け、現場で救援活動を行う最前線の役割を担っている市民社会やコミュニティベースのネットワークを支援することが極めて重要です。
 「ミャンマーの人たちはもう十分苦しんできました。この恐ろしい震災の対応策として、民主主義と人権を支持し、包括的な解決に向けた道筋を作っていかなければならないのです」

(翻訳:大久保智子・ヒューライツ大阪インターン)

<出典>
https://www.ohchr.org/en/press-releases/2025/04/myanmar-military-actions-compound-dire-humanitarian-situation-aftermath
Myanmar: Military actions compound dire humanitarian situation in aftermath of deadly earthquake
4 April 2025

(2025年04月14日 掲載)