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国際人権ひろば No.78(2008年03月発行号)

ヒューライツ大阪からのお知らせ

「ワン・ワールド・フェスティバル2008」の報告

  国際協力活動に関わるNPO/NGOや政府機関、国際機関、企業などで構成されるワン・ワールド・フェスティバル実行委員会が毎年主催している「ワン・ワールド・フェスティバル2008」が2月2日(土)と3日(日)に大阪国際交流センターで開催されました。このフェスティバルは国際協力祭りとしては西日本で最大規模のもので、第15回目の今回は2日間で13,500人の来場者数でした。
 ヒューライツ大阪は、今年も実行委員会に参加し、活動紹介ブースに出展するとともに、4つのプログラムを共催しました。以下、共催プログラム(いずれも実行委員会も共催団体)の概要を報告します。
 

1.「チョコレートから世界が見える」ワークショップ


 2月2日(土)午後1時?3時、ヒューライツ大阪と大阪府立学校人権教育研究会が共催し、ESD「環境・開発・人権を考える」セミナーとして「チョコレートから世界が見える」ワークショップを行いました。バレンタインデーを間近に控えた時期のせいもあってか、当日は予想を大幅に上回る60人以上もの参加者があり、大きく盛り上がりました。
 ワークショップは、アイスブレイクを兼ねたチョコレート・クイズから始まり、チョコレートの歴史や製造工程についての簡単な解説。休憩中にはチョコレートの試食。フェアトレードのチョコや高級ブランドのチョコも含め数種類のチョコを食べ比べて、最も美味しいと思うものに投票をしてもらいました。結果は、明治ミルクチョコレートが1位でした!また、フェアトレードのチョコと高級ブランドのチョコは同点でした!
 後半は、ガーナのカカオ農園で働く子どもを取材したTV番組「もしも世界が100人の村だったら」のビデオを見た後でロールプレイ。5人が1グループになり、それぞれが『カカオ農園の労働者』『農園主』『チョコレートメーカー』『フェアトレードに関わるNGO』『日本の消費者』の立場になってディスカッション。学校に行くこともできずに一日中カカオ農園で働いている子どもの問題を、どのようにして解決すればいいかを考えました。
 参加者からは、「消費者に生産現場の様子をもっと伝えるべきだ」「フェアトレードの情報が伝わってこない」といった意見が出され、身近な食べ物であっても、それがどのように生産され、どのようにして私たちのところに届くのかについて、私たちがあまりにも知らなさ過ぎることが大きな課題として浮かび上がりました。
 また、「日常生活でとても多く考える機会のある、身近なチョコレートだから、消費者の行動が世界を変えることができると改めて思った」「簡単に解決できることではないが、私たち消費者は考え続ける必要があると思った」といった感想もあり、消費者の行動こそが、問題解決の鍵であることも参加者共通の認識となったようです。
 そうしたことから考えると、いかに正確な情報を消費者に伝えるかが重要であるといえます。多くの人たちがグローバル社会の問題に気づき、問題解決に向け行動を起こすきっかけとして、こうしたワークショップが大きな役割を果たすことを改めて実感した2時間でした。

(桜本哲也・大阪府立学校人権教育研究会)


 

2.島の音・風の音?新垣優子さんの うた三線で聴く オキナワ

三線を演奏する新垣優子さん
三線を演奏する新垣優子さん

 2月2日(土)午後3時30分?5時、アジアボランティアセンターとヒューライツ大阪が関西沖縄文庫の協力のもと、沖縄のヤンバルで生まれ育った三線唄者の新垣優子さんの「うたとトーク」をメインにした企画を行いました。
 沖縄は、「癒しの島」のイメージがクローズアップされ、毎年、島外から多くの観光客を受け入れています。このイベントでは、住民の約2割が沖縄出身者といわれ「ウチナーンチュの街」とも呼ばれる大阪市大正区で関西沖縄文庫を主宰している金城馨さんと、新垣さんによるトークも行いました。トークでは、高校教科書と沖縄戦の「集団自決」の検定問題がクローズアップされました。「住民がどのように『集団自決』に追い込まれていったのか」について、沖縄にルーツを持つ二人の率直な意見や思いを語ってもらいました。
 来場者は、新垣さんの空高く響くような声とやさしい三線の音で、沖縄の情に触れるとともに、「癒しの島」だけではない沖縄の姿の一端に接することができたようです。約180名の客席は満席となる人気でした。

(藤本伸樹・ヒューライツ大阪)


 

3.パネルディスカッション「ビルマの民主化と私たちのかかわり」

パネルディスカッションのもよう
パネルディスカッションのもよう

2月3日(日)午前11時?午後1時、ヒューライツ大阪と日本ビルマ救援センターは、パネルディスカッション「ビルマの民主化と私たちのかかわり」を開催しました。当日は、小雨の降る寒い日となりましたが、熱心にメモを取るなど報告に聞き入る約100名が集まる熱気に包まれた企画となりました。
 パネリストの宇田有三さん(フォトジャーナリスト)は、2007年9月の民主化デモを中心に、アルジャジーラの映像を用いて、日本のニュースでは流れない現地の様子を報告しました。
 箱田徹さん(ビルマ情報ネットワーク)は、「2007年ビルマ民主化蜂起の背景と『わたしたち』の課題としての連帯」というテーマで、軍事政権に対して強いメッセージを発することもなく、援助の方針もはっきりせず、難民に対しても何の支援もないといった日本のあり方について、考えていくべきではないかと報告しました。
 工藤年博さん(アジア経済研究所)は、「2007年ミャンマー騒乱?経済的背景と今後のゆくえ?」と題して、民主化デモの経済的背景、特に軍政の経済基盤は何か、なぜ軍事政権は倒れないのか、などについてわかりやすく解説しました。
 会場からは民主化勢力、民族勢力、軍の三者間の対話の可能性について、アメリカは本当に民主化を支援しているのか、さらに、日本政府の役割や関わり方などについて活発な質問や議論がなされました。

(野澤萌子・ヒューライツ大阪)


 

4.宇田有三写真展「ビルマ軍政下に生きる人びと 1993-2007」(2月2日?3日)


 ビルマ(ミャンマー)の軍事政権下でたくましく生きる人びとの姿を撮り続けている宇田有三さんの写真パネル100枚を展示した写真展を、ヒューライツ大阪と日本ビルマ救援センターが共同で開催しました。ビルマ情勢は日本国内で注目を集めていますが、2日間を通した来場者は約2,000人で、市民の関心の高さがうかがえました。
 たくさんの来場者アンケートのなかには、「家族にも見せたい」「撮り続けることや関わり続けることの重要性に気づかされた」「学校の教材などに活用してはどうか」などといった示唆に富む感想が多くありました。
 ヒューライツ大阪では、今回展示した宇田有三さんの写真パネルを原則1週間を限度として、有料(枚数に応じて1~4万円)で貸し出しを行っています。詳しくはヒューライツ大阪事務局にお問い合わせください。
Tel : 06-6577-3577, webmail [a] hurights.or.jp
 

共催研究会「高等学校の人権教育の実践から学ぶ」の報告


 ヒューライツ大阪は神戸女学院大学との共催で、2008年2月20日(水)に大阪府立三島高等学校教員の松井克行さんを講師に招いて、高校の公民科における人権・平和・民主主義(市民性)教育に関する授業実践をテーマとした人権教育に関する研究会を開催しました。
 松井さんは、「女子性器切除」(FGM)や「女人禁制」「日韓における歴史認識」といった具体的な課題に関して、生徒たちは参加型学習などを活用しながら学習していることなど、三島高校における教育実践について報告しました。
 松井さんの問題意識は、人権、平和、民主主義という価値は、相互に関連づけられるべきであり、ホリスティック(包括的)に学ぶものでなければならないというもの。また,人権についても平等権,自由権,社会権などホリスティックな関係性の中で,相互に関連づけて学ぶ必要があると強調しました。
 そうした学習を推進してきた米国コロンビア大学名誉教授で、平和教育実践家として有名なベティ・リアドンさんの教育論の紹介が同時に行われました。