MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

  1. TOP
  2. 資料館
  3. 国際人権ひろば
  4. 国際人権ひろば No.88(2009年11月発行号)
  5. 見て・感じて・考えた4日間

国際人権ひろば サイト内検索

 

Powered by Google


国際人権ひろば Archives


国際人権ひろば No.88(2009年11月発行号)

特集:「移住」の視点からみる韓国・済州島スタディツアー Part5

見て・感じて・考えた4日間

号外版:「済州島スタディツアー2009」(8月25日~8月28 日)の感想文

隼田奈穂
京都女子大学現代社会学部3回生

 私は初めての海外旅行がこの韓国・済州島スタディツアーだった。このツアーに参加するきっかけは京都女子大学の嘉本伊都子先生の「韓国・済州島スタディツアーがあるよ」という一言だった。2008年、私は嘉本先生の演習科目を受け、韓国の国際結婚について調べた。これをきっかけに韓国に関心を持ち始めた。済州島について調べたことがなかったため、ツアーの全日程が私にとって発見と学びの連続だった。
 私の発見と学びの代表格は「格納庫」である。2日目に訪れたアルトル飛行場跡付近に点在する格納庫には戦時中に飛行機をおさめていたそうだ。私は格納庫という言葉を聞いたことがなく、知識も全く知らなかった。そのことを知った柏木さんや嘉本先生の驚愕した表情を思い出すだけで、私は今でも心底恥ずかしくなる。無知であることの恐ろしさを実感した。
 4日目に海に直接落下するチョンバンポクポという滝を訪れた。そこでは40~60代の海女が獲れたてのアワビやタコを売っていた。1日目に海女博物館で聞いた海女の高齢化問題の話を思い出した。海女は10代から漁を始め、30代が海女として仕事をするピークだそうだ。海女を引退する年齢は50代などさまざまである。

獲れたての海産物を売る海女さん 獲れたての海産物を売る海女さん

 現在は女性の高学歴化などにより、海女の後継者の育成ができていないという。海女人口の減少を防止するために、海女学校の設立やフィリピン人女性を海女として育てる動きがあると聞いた。
 万丈窟にいた海女は、私たちにアカペラでアリランを歌ってくれた。歌声は情緒的で、歌詞の意味がわからない私も聴き入ってしまった。
 教育といえば韓国における大学進学率が80%を超えたことはよく知られている。日本の場合は50%ほどで、韓国と比べると30%ポイントほどの差がある。ツアーのガイドさんの話によると、韓国では下校後は塾に通う生徒以外は図書館で23時まで勉強をして帰宅し、翌朝も早くから勉強をしているそうだ。図書館も生徒が長時間勉強できるように設定されている。日本のように生徒や学生が図書館で長時間勉強することに否定的な図書館は存在しないそうだ。海女の問題1つを考えても、韓国の少子高齢問題と伝統産業の継承、教育制度などの事柄が関連していることを知り、私は複眼的な思考が必要であることを改めて理解した。
 済州島で過ごした超特急の4日間は訪問した施設で単に知識を増やすだけでなく、ツアーに参加した皆さまや現地で出会った方々を通して多くのことを見て、感じ、考えた。実り多い韓国・済州島スタディツアーに参加でき、本当に良かった。ありがとうございました。また参加者皆さまにお会いできることを楽しみにしております。