特集
ヒューライツ大阪は2010年1月30日、(財)世界人権問題研究センターの協力を得て、国際シンポジウム「アセアンの地域的人権機関の設立と東アジアにおける可能性を考える」を、ヒューライツ大阪の事務所が入居する pia NPO 内で開催した。
10カ国で構成される東南アジア諸国連合「アセアン」(ASEAN)は、09年10月に開かれたアセアン首脳会議において、アジア地域では初めての地域的人権機関となる「アセアン政府間人権委員会」を設立した。1993年のアセアン閣僚会合の際に設立の検討が合意されて以来、長い道のりを経ての発足となった。
今回のシンポジウムでは、国連人権高等弁務官事務所(ジュネーブ)のローラン・メイランさんに、欧州や米州、アフリカに存在する地域的人権保障機構について話していただき世界の動向をおさえたうえで、タイ・チュラロンコン大学のヴィティット・ムンタボーン教授に、「アセアン政府間人権委員会」の設立の背景や今後の役割と課題について報告いただいた。同教授は、学識経験者そして NGO の立場で、設立に向けたワーキング・グループを立ち上げて当初から中心的に提唱してきたひとりである。
さらにシンポジウムでは、日本における国内人権機関(国家人権委員会)を設置することの重要性、および東北アジアをはじめとする東アジアにおける地域的な人権保障メカニズムの可能性について問題提起を受け、参加者と議論を行った。コ―ディネイターは、ヒューライツ大阪所長の白石理が務めた。参加者数は約40名。本誌では、報告要旨を紹介する。