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国際人権ひろば No.94(2010年11月発行号)

ヒューライツ大阪からのお知らせ

活動報告 緊急報告会「中国の人権状況」(10月24日)を開催

 ヒューライツ大阪は10月24日、アムネスティ・インターナショナル日本・関西連絡会と協力して、国際人権 NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(本部・ニューヨーク)の中国担当上級調査員であるニコラ・ベクイリンさん(Nicholas Bequelin)の来日を機に、緊急報告会「劉暁波氏のノーベル平和賞を受けて:中国の人権状況、知識人たちの動向、メディア・インターネットの現状、中国政府の対応」を pia NPO で開催しました。 ベクイリンさんは同 NGO から派遣された香港に駐在しながら、中国の人権状況を長年モニターし、情報を発信しています。報告概要は以下の通りです。
 劉暁波氏が今年ノーベル平和賞を受賞したことは、今後中国の人権状況が改善するか後退するかの予想は難しいが、歴史的な転換点になりうるのではなかろうか。劉氏は中国における法の支配と人権尊重を求める「08憲章」を起草し、08年12月10日に署名開放し広めようとした直前の12月8日に拘束された。そして、「国家転覆扇動罪」の罪で11年の刑に服している。11年というのはこれまで科されたなかでは最長の刑期である。
 それだけに、中国政府は「08憲章」を重要なものだと解釈しているといえる。当初303名の中国有識者がこの文書に署名したのだが、警察はその全員から事情聴取を行ったほどである。現在ではインターネットを通じて広まり、数千名が署名している。
 劉氏のノーベル平和賞受賞を受けて、中国共産党の元幹部ら23人が発起人となり10月12日、言論・出版の自由を求める公開書簡をインターネット上に発表するとともに、全国人民代表大会に提出した。発起人には、故・毛沢東主席秘書の李鋭氏や、人民日報元社長の胡績偉氏らが名を連ねている。また、中国では弁護士、研究者、ジャーナリスト、NGO 活動家、農民、労働者など多彩な人たちが言論や出版などの自由の保障を求めて活動している。
 中国はこれまで10を超える国際人権条約を批准しており、そのなかに定められた国際基準を実施する義務がある。義務を尊重し果たすかどうかに中国の国際的信用がかかっている。一方、国外から批判すると、政府は「中国ナショナリズム」をもって反論し、「中国政府を批判するということは、中国の民衆を批判していることだ」というふうに論理をすり替えている。
 今回のノーベル平和賞は、中国政府を批判したことになるかもしれないが、民衆を支持していることを表明したものではなかろうか。
(構成・藤本伸樹)

参照:ヒューマン・ライツ・ウォッチ東京オフィス
   (http://www.hrw.org/ja
   アムネスティ・インターナショナル日本
   (http://www.amnesty.or.jp/)