ヒューライツ大阪からのお知らせ
ヒューライツ大阪では、「国際人権基準の国内法・判例への反映」調査研究プロジェクトを2009年度から2年間進め、この度報告書を発行しました。報告書のタイトルは、『Law, Jurisprudence and Human Rights in Asia』(編者/Jefferson R. Plantilla, Salbiah Ahmad, 358p. B5判)です。
プロジェクトの目的は、アジア各国で(1)国内法制度、司法制度にどのように国際人権基準が取り込まれ、国内の問題が実際に解決されているのか、(2)人権問題にとりくむ関係者に活用されているのかについて、人権実務家の視点から個々の人権問題について国際人権基準の国内適用のケースを分析することです。
対象となった8カ国のパートナー団体は、中国の「武漢大学・公益および開発法研究所」、韓国の「民主社会のための弁護士会」、タイの「マヒドン大学大学院・人権研究および社会発展センター」、日本の「ヒューマンライツ・ナウ」、インドネシアの「共同体および生態系に基づく法改革のための協会」、ネパールの「法研究および資料開発センター」、インドの「人権法ネットワーク」、フィリピンの「フィリピン大学・法センター人権研究所」です。
2009年12月からは、国連人権高等弁務官事務所からこのプロジェクトへの助成が認められました。
各国の社会状況が違う中で、各団体が調査分析した人権課題を内容で整理すると次のようになります。移住労働者―国内での労働者の移動(中国)・外国人労働者(韓国)、女性の人権―DV(タイ)、均等待遇(日本)、女性の権利とイスラム法(東南アジア)、子ども―子ども兵士(ネパール)、先住民族―土地への権利と宗教の自由(インドネシア)、受刑者、犯罪者―公正な裁判(日本)、特定の社会グループー反テロ法での犯罪集団と疑われているマイノリティ(インド)、一般市民―人権法での権利擁護(香港)、医療への権利(フィリピン)
この報告書はそれぞれの国で実際に活動し、それぞれの分野の人権状況とその背景を把握している団体や活動グループによって書かれたものです。これまでこのような国際的な調査分析は、ともすれば外部のコンサルタントによってなされる傾向があり、深く掘り下げた成果があったとはいえないものがありました。この点で、今回の報告書は画期的なものといえます。
報告に関する詳しい情報や報告書のお求めは、ヒューライツ大阪まで連絡をお願いします。