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国際人権ひろば No.101(2011年11月発行号)

共に語り発信する共催スタディツアーを企画して

朴 君愛(パク クネ)
ヒューライツ大阪上席研究員

 2011年8月24日~28日に、ヒューライツ大阪は(財)大阪府男女共同参画推進財団との共催で、プサンとソウルを訪ねるスタディツアーの企画を担当した。同財団と共催しての海外プロジェクトははじめてであったが、両組織の強みを生かして、スタディツアーの目標である日本と韓国の女性たちのつながり、参加者同士のネットワーク作り、共にエンパワーすることはある程度達成できたと考えている。限られた人数での短時間の交流は、広がりという面では限界はあるが、直接現場に出かけて交流するというスタディツアーならでの学びとそこから生まれるエネルギーは確かにあった。

 18名の参加者の内訳は、日本で女性の暴力被害者への支援を行っている人、DV裁判などで活躍している弁護士、女性学の研究者や学生などツアーの内容に深くかかわっている人たちが多く、3名の男性の参加者も得た。


韓国の参加者も交えて記念写真

 今回、「プサンの女性の電話」とその姉妹組織で女性への暴力被害者のシェルターを運営している「セギル共同体」を訪問したのは、福岡で外国人女性のDV被害者支援などに携わっているNGO「アジア女性センター」のメンバーから紹介されたからである。「プサン女性の電話」が、韓国で一番規模の大きいシェルターを運営してきた(現在は独立して「セギル共同体」が運営)という話を聞き、またプサンが第二の都市とはいうもののソウルに一極集中し、街は産業空洞化と相まって元気をなくしていると聞いた。大阪との文化的な共通性が言われてきたプサンであったが、社会的な状況も共通しているおり、そこでふんばっている市民団体と交流したいと思ったのである。「プサン女性の電話」代表のオ・ヨンランさん、事務局長のチョン・オッキさんにはとりわけお世話になった。

 ソウルでは、「大阪府男女共同参画推進財団」と友好協約を結んでいる「ソウル市女性家族財団」を訪問したが、ここはソウル市の女性政策のシンクタンク役を果たしている。訪問当日に、学校給食無料化をめぐっての住民投票率の結果を受け、ソウル市長が辞任を発表した。10月26日に前市長派ではない市民運動出身の朴元淳さんが当選した。より一層の女性政策の進展が期待される。

 またツアーのプログラムの一環としてワークショップ開催を引き受けていただいた大阪府立大学女性学研究センターと聖公会大学NGO大学院実践女性学コースの関係者に感謝を申しあげたい。日本と韓国の草の根の女性運動の現状について報告は興味深いものであった。聖公会大学NGO大学院の学生のみならず、アクティビストが関心を持って参加していた。遠くは、外国人女性を支援している団体のスタッフが、プサン近郊から来ていた。この日韓の大学間の仲をとりもったのが、同大学院の卒業生であり、韓国女性の電話連合の中心メンバーのパク・イネさんであった。
 国境をまたいで、人権の側面でつながっていこうとする努力を継続していきたい。

●プサン・ソウル5日間の旅・主な日程
8/24(水)    大阪からプサンへ
プサン・ヘバラギ女性・児童支援センター訪問 (プサン泊)

8/25(木)    午前 DV?被害者のためのシェルター、セギル共同体訪問
午後 「プサン女性の電話」訪問
  (プサン泊)

8/26(金)    午前 ソウルに移動
午後 ソウル女性プラザを訪問
(財)ソウル市女性家族財団より
事業活動の紹介    (ソウル泊)

8/27(土)    午前 聖公会(ソンゴンフェ)大学のNGO大学院を訪問
聖公会NGO大学院・実践女性学コースと大阪府立大学女性学研究センターの共催によるワークショップに参加
午後 午前中に続いて質疑応答と懇談会     (ソウル泊)

8/28(日)    帰国まで自由行動
ソウルから大阪へ