MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

  1. TOP
  2. 資料館
  3. 国際人権ひろば
  4. 国際人権ひろば No.117(2014年09月発行号)
  5. 自由権規約委員会が、ヘイトスピーチ、特定秘密保護法などについて日本に勧告

国際人権ひろば サイト内検索

 

Powered by Google


国際人権ひろば Archives


国際人権ひろば No.117(2014年09月発行号)

ヒューライツ大阪のお知らせ

自由権規約委員会が、ヘイトスピーチ、特定秘密保護法などについて日本に勧告

 日本は、表現、良心、信仰の自由、政治的権利、生命の権利、拷問の禁止、平等の権利などの権利について規定する「市民的および政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)の締約国であるが、締約国は、規約の権利を実施した措置や実施状況について定期的に報告を提出する義務を負う。日本は2014年4月に6回目の定期報告を提出しており、その報告が2014年7月に規約の実施をモニターするためにつくられた自由権規約委員会で審査され、日本の規約の実施状況に関する懸念事項や勧告を含む総括所見が公表された。
 審査に先立ち、NGOから委員会に対してブリーフィングする機会が設けられ、国連ジュネーブ事務局には日本から筆者も含めて60人以上の人が参加した。
NGOブリーフィング.jpg
報告審議に先立って行われたNGOブリーフィング
 
 総括所見では、歓迎すべき点として第三次男女共同参画基本計画の策定や、公営住宅法における同居親族要件の改正により、同性カップルでも入居が可能になったこと、民法の婚外子の相続に関する差別規定の廃止、障害者権利条約の批准などがあげられている。
 一方、委員会は、2008年に出された前回の勧告の多くが実施されていないことに懸念を表明し、それらの実施と並んで、裁判所での規約の権利の保障、個人通報制度に関する選択議定書の批准や国内人権機関の設置などの勧告を再度行っている。
報告審議.jpg
自由権規約委員会の報告審議
 
 ヘイトスピーチについては、NGOがここ数年各地で行われているデモや朝鮮人学校に対する街宣活動などについて情報を提供していたが、委員会は、数多くのデモが許可されていることや「ジャパニーズ・オンリー」の表示が掲げられていることなど指摘し、人種差別、憎悪や人種的優位を唱える宣伝活動やデモを禁止するよう勧告した。
 特定秘密保護法は2013年に制定され、日本の定期報告には含まれていなかったが、審議の際、委員から、対象となる秘密の定義や罰則に関する意見や質問が出されていた。総括所見においても、特定される秘密の定義が曖昧で広いことや、厳しい罰則規定が設けられていることなど懸念が示され、同法の適用を自由権規約の19条に適合させるよう勧告している。
 そのほか、女性の政治参加の拡大や、賃金格差の是正、セクシュアル・ハラスメントを犯罪とすることなどのほか、DVについて被害者の保護や加害者の処罰を行うこと、性暴力について法整備を行うことなどが呼びかけられた。
 また、死刑、代用監獄や警察・検察による取調べ、精神障害のある人の非自発的入院、「従軍慰安婦」の問題、技能実習制度、福島原発事故後の住民の健康、強制退去、先住民族などに関する勧告も出された。詳細は、次号118号の「国際人権ひろば」に掲載する予定である。
(文 岡田仁子)