ヒューライツ大阪は3月17・18日に国際人種差別撤廃デーを記念して、「エンド・レイシズム―映画を観て人権を考える」と題した映画会を開催した。とりわけ9・11以降、イスラモフォビアとして一挙に世界に広がったイスラム嫌悪は、フランスを含む欧米各国のムスリムコミュニティにも深刻な影響をもたらした。映画会でとりあげた「スカーフ論争・隠れたレイシズム」は、参加した人びとから高い評価をいただいた。今号では、その映画会を企画したジャーナリストの中村一成さんに、この映画から通して見えてくる世界そして日本におけるレイシズムについて書いていただいた。大阪大学大学院の山根絵美さんには「スカーフの内側からイスラームを見る」と題して、西欧や日本を含み非イスラームの世界からは見えてこない風景について書いていただいた。2015年11月パリで起きたテロ事件が示すように、スカーフ論争はさらに深化してフランス社会全体を覆っている。最後の記事として、2004年以降、あらたに制定されたヴェール禁止法を中心に、その後のフランスにおける動きを編集でまとめた。(編集部)