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国際人権ひろば No.64(2005年11月発行号)
特集 真の友情を築く市民交流のための韓国スタディツアー Part2
韓日の市民交流を活性化しよう
パク・チョンウン 参与連帯幹事(平和軍縮センター担当)
対立解消には共通の理解が必要
今年は、光復(植民地解放)60周年と南北分断60周年を迎えて、韓国市民社会はいつにも増して朝鮮半島と東北アジアの話をしています。朝鮮半島と東北アジアの平和を語るとき、欠かすことができないのが、韓日関係の発展なのです。
しかしながら、2005年を振り返れば、韓日は決して平和な関係であったとはいえません。隣国でありながら近しく交流の活動をしてこなかった二つの国は、日本の教科書歪曲問題、清算されない過去の歴史問題、領土問題をめぐり対立が先鋭化しています。米国の攻撃的な世界軍事戦略が韓国と日本において貫かれている状況にあって、日米の軍事同盟や日本の憲法9条改定の動きがやはり大きな憂慮を生んでいます。
けれどもこの間確認されたように、お互いに交流や理解が不足している状態において、韓日のある局面に見られる即興的で感情的な対応は、問題の解決にならないばかりか問題をさらにこじらせています。韓日間の対立を解消し未来志向的な韓日関係をつくるために、歩みも遅く難しくても各界各層の交流を通じて、お互いの立場を話し合いながら理解を深める必要があります。
さらに韓国は長い被害の歴史を持っていますが、日本は加害の歴史を消そうとしています。こうしたそれぞれの国の文化と教育システムから自由になれない市民にとって、お互いを理解しようとする努力が優先されなければならないのは当然のことです。しかし、この間韓国の政府や市民社会はお互いの立場を理解するために交流し意思疎通することを惜しみました。その結果、歴史の理解についての韓日間の反目は増幅し、実際に政治的に利用されることになりました。ひいてはこうした共同の歴史認識の不在は、今日のような東北アジアの不安定と軍備競争を防ぐための韓日の平和の連帯をさらに難しくしています。
「最初の一さじ」から
この度の韓日市民フォーラムは、こうした東北アジア地域と韓日関係の発展を阻害している歴史認識問題や東北アジアの軍事化の問題に対する韓日の市民が直接会って話合うために設けられました。もちろん今回は、両国の市民が、争点になっている懸案を十分に理解し話し合うことができたとはいえないものでした。けれども最初の一さじで、おなかが一杯になることはありません。韓日の発展に何が障害となり、相手方の市民がこの問題にどういう視点を持っているのか直接確認したことや、韓日の市民の交流が一層切実であるという認識を持つという点では意味あるものになったといえます。
市民の努力で東北アジアの平和共同体を
特に、このフォーラムで一人の日本の参加者が強調していた「武器をもたない平和、非武装平和主義」というのは重要な意味を持っています。これは戦力の増強や武力の保有が平和を保障するものではないということです。私たちは、日本が長い間平和憲法を守り、非武装の平和をまもってきたことをよく知っています。何よりも日本の憲法9条は、日本のみならず、共存繁栄をしなければならない東北アジアと世界の国々がめざしている大切な価値だと考えています。ですから日本は平和憲法をまもって、他の国家にも平和軍縮の必要性と非武装による平和主義の原則を広く知られるようにしていく主体にならなければと思います。それが日本の市民がやっていくべき役割であると考えます。
世界レベルで冷戦が解体されたにもかかわらず、東北アジアには1945年に形作られた冷戦の秩序がいまだ残っています。韓日の市民交流は、このような冷戦の秩序を解体するのに寄与するものです。ですから市民交流を継続して、活発に進めていく必要があるのです。そして究極的には、対決の論理である安全保障の論理やこれに基づく東北アジアの軍備競争を克服できるよう韓日の市民社会は共同の歴史認識、平和共同体の認識を作るべく努力しなければならないのです。
(訳:朴君愛・ヒューライツ大阪)