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国際人権ひろば No.67(2006年05月発行号)

NEWS IN BRIEF

■ 国連人権理事会のメンバー47カ国が選出される


  06年5月9日、国連総会は新しく設立された人権理事会のメンバー国47カ国を選出した。同日に行われた投票でアジアからは、バーレーン、バングラデシュ、中国、インド、インドネシア、日本、ヨルダン、マレーシア、パキスタン、フィリピン、韓国、サウジアラビア、スリランカの13カ国が選出された。
  メンバーに選出された国は3年の任期を連続2期まで務めることができるが、初回の今回に限り、選出された国のうち、くじ引きで任期1年、2年、3年の国が決められた。日本は2年の任期となった。
  アナン国連事務総長は05年3月に提出した国連改革案「より大きな自由の中で」において、国連人権委員会が自国への批判を回避するために人権委員会のメンバーになる国がいるなど信頼性が低下しているとして、これを廃止し、代わって常設の人権理事会を設立することを提案していた。その設立案は、05年9月の国連総会の首脳会合の成果文書に盛り込まれ、06年3月に同理事会を総会の下部機関として設立することが決議された(A/RES/600/251)。
  新しい理事会は人権侵害を取りあげ、それについて勧告を行い、国連システム内の人権の調整およびメインストリーム化を促進する任務を負うほか、人権問題に関する対話の場を提供し、人権に関する国際法の発展について総会に勧告するなど人権委員会の行っていた役割を担うことになるほか、各国の人権の状況を平等に定期的に検討することが規定されている。
  この決議を受け、46年設立の人権委員会は6月に廃止されることになった。理事会のメンバーは47カ国で、アフリカ地域から13カ国、アジア地域から13カ国、東欧から6カ国、カリブ諸国を含む中南米から8カ国、西欧その他諸国から7カ国と地域配分が決められている。投票は総会において秘密投票で行われ、過半数(96票)で当選となる。また、メンバー国が重大な人権侵害を行った場合、総会は3分の2以上の賛成でその国のメンバーとしての資格停止を決めることができる。選出に当たり、立候補した国は、それぞれ自国の今までの人権の取り組みや今後の国内外の人権の伸長・保護への「公約」を公表していた。
  人権理事会の第1会期は6月19日に開催される。

参考:
「人権委員会の最終会期終了」(ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ06年3月)
「国連総会が人権理事会の設立を決議」(ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ06年3月)
「国連総会首脳会合(2005年世界サミット)が成果文書を採択」(ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ05年9月)

■ 児童労働が世界的に減少 -ILOグローバル・レポート


  06年5月4日、国際労働機関(ILO)は児童労働に関するグローバル・レポート「児童労働のない世界:手に届く目標」を公表した。
  レポートは、世界で児童労働に従事する子ども(5~17歳)の数は、00年に2億4,600万人であったのが、04年には11%減少して2億1,800万人になり、そのうち危険で有害な労働に就く子どもの数は、00年の1億7,100万人から04年には26%減少し1億2,600万人になったと推計される、と報告している。なかでも、危険有害労働に従事する5歳から14歳の子どもの数は33%と最も大きく減少している。地域別にみると最も減少が大きいのはカリブ海地域を含む中南米で、一方、サハラ砂漠以南のアフリカではほとんど減少が見られなかったことが報告されている。この傾向を続けていくことができれば、16年までには最悪の形態の児童労働をほぼ撤廃することが可能かもしれないという見解をレポートは示している。
  減少の要因には、経済発展だけでなく、適切な政策がとられていることが必要であるとして、特に貧困削減と教育、人権施策の重要性をあげている。また、「最悪の形態の児童労働に関する条約(99年、第182号)をはじめとする関連するILO条約の批准、および使用者・労働団体の取り組みなども重要な役割を担うと指摘している。
  ILOのグローバル・レポートは98年に採択された「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言とそのフォローアップ」に基づいて、強制労働、児童労働の禁止、結社の自由、差別禁止について毎年ひとつを取りあげ、事務局長が4年間の進捗状況について報告としてまとめ、総会に提出している。児童労働に関しては、02年に「児童労働のない未来」が出されている。また、05年には強制労働に関する「強制労働に対するグローバルな連合」が公表されている。

参照:ILO駐日事務所報告エグゼクティブ・サマリー[PDF](日本語)
ILOグローバル・レポート[PDF](英語)
参考:「ILOが強制労働に関する報告を公表」(ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ05年5月)