人として♥人とともに
2023年は、日本がG7サミットの議長国を務めます。広島出身の首相が広島を開催地に選んで開催されるサミットであり、広島の歴史を踏まえ、平和への強い意思が明らかにされるサミットになることを多くの人が願っていると思います。
近年、G7やG20の宣言や公約に自分たちの課題を反映させるために、様々な関係団体や関係者(ステークホルダー)がG7やG20の首脳に働きかけようとする活動が活発になっています。エンゲージメント・グループと呼ばれるグループも生まれていて、G7やG20の公式プロセスの一環として位置づけられています。G7に関しては、現在、B7(Business7)、C7(Civil7)、L7(Labour7)、S7(Science7)、T7(Think7)、W7(Women7)、Y7(Youth7)等があります。今年はセクシュアル・マイノリティの当事者団体たちが中心になり、P7(Pride7)も立ち上がりました。ヒューライツ大阪は、SDGs市民社会ネットワークを通じ、このなかのW7とC7に関わっています。
W7ジャパン2023は、以下の5つのワーキンググループを通じてG7への提言を議論してきました。前文を含め、関連する人権の課題について簡単に触れます。
前文では、世界で初めて原子爆弾投下による惨状を経験した広島の歴史を踏まえれば、今回のサミットが平和、非軍事化、非暴力への強い意思を新たにするまたとない機会であるとし、ジェンダー平等を核とする平等で公正で平和な未来は全ての人に恩恵をもたらすことを強調しました。また、全ワーキング・グループを横断する
テーマとして交差性・複合差別の課題を設定しました。
「フェミニストは求めます、平等、公正、平和な未来の構築を」が今回のW7のスローガンです。ここでのフェミニストは、米国のブラック・フェミニストであるベル・フックスのフェミニズムの定義、すなわち「フェミニズムとは、一言で言うなら、〈性差別をなくし、性差別的な搾取や抑圧をなくす運動〉のこと」に拠っていて、そのような運動に共感し共鳴するすべての人を指します。「性に基づく差別をなくす」ということで、性的マイノリティをも包摂する言葉として使っています。
今号では主にW7について説明しましたが、今回のC7の重要なフォーカスが核廃絶です。世界の市民社会の声を広く集めて、非暴力、非軍事化、核廃絶の理念に則った平和が模索されるG7サミットになることを心から願います。
[参考]
・ベル・フックス『フェミニズムはみんなのもの:情熱の政治学』新水社、2003年、p.14
・https://women7.org