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〔コラム〕ビジネスと人権って何だろう

消費者への負の影響を防止・軽減する企業の社会的責任【2024年9月9日】

企業が提供する製品やサービスを最終的に使うのは一人ひとりの消費者です。企業は一人ひとりの消費者とつながっており、影響を及ぼしているのです。こうした「つながり」による影響を考えることが「ビジネスと人権」においては重要となります。

消費者一人ひとりが人としての尊厳と権利を持つ存在です。企業は製品やサービスを通じて一人ひとりの消費者に影響を及ぼします。安全・安心を重視せずに生命や人体に負の影響を及ぼすような場合や、不適切な情報により合理的な消費選択を阻害するような場合です。企業には、こうした負の影響を防止・軽減する社会的責任があります。

ヒューライツ大阪のウェブサイトの「ビジネスと人権」ページでは、さまざまな情報を提供していますので、ぜひご覧ください。

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被害者の尊厳を傷つけるハラスメントは人権侵害【2024年8月2日】

「ビジネスと人権」で重要なのは、労働の現場における労働者の人権をめぐるさまざまな課題を働く人の人権の視点から考えることです。

ハラスメントと呼ばれる職場におけるいわゆる「いじめ」や「いやがらせ」は、被害者の尊厳を傷つけ、身体の安全を脅かすなどの人権侵害にあたります。セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメント、カスタマーハラスメントなどがあります。

ILOが2019年に採択した「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約」では、従業員だけでなくインターン、ボランティア、求職者など、またオンラインでのハラスメントなど、非常に幅広い場面が含まれています。また、家庭内暴力(DV)の被害者にも特別の配慮を求めています。

ヒューライツ大阪のウェブサイトの「ビジネスと人権」ページでは、さまざまな情報を提供していますので、ぜひご覧ください。

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障害者の働く権利の尊重【2024年6月12日】

「ビジネスと人権」では、労働者の人権をめぐる課題を働く人の人権の視点から考えます。国連ビジネスと人権に関する指導原則は、「雇用と職業における差別の排除」を含むILO(国際労働機関)の中核的労働基準の遵守を求めており、職場で働く障害のある人のインクルージョン(包摂)の考え方が重要となります。

障害者基本法では、障害者の個人の尊厳、生活保障の権利、社会への参加、差別行為の禁止などが基本理念としてうたわれています。障害者雇用促進法では、一定規模以上の企業に法定雇用率が設定され、積極的措置による雇用の拡大がめざされています。障害者差別解消法と改正障害者雇用促進法では、障害を理由とした差別の禁止、障害者が仕事をしやすくする「合理的配慮」などを求めています。

障害のある人が能力と特性に合わせた「働きがいのある人間らしい仕事」(ディーセント・ワーク)ができる工夫が必要です。ヒューライツ大阪ウェブサイトの「ビジネスと人権」ページでは、ILOの中核的労働基準などに関する情報を提供していますので、ぜひご覧ください。

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ILO中核的労働基準

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厳しい労働環境で働く性的マイノリティ【2024年5月20日】

国連ビジネスと人権に関する指導原則は、企業が人権尊重責任を果たす上での最低限の基準の一つとして、「雇用と職業における差別の排除」を含むILO(国際労働機関)の中核的労働基準の遵守を求めています。「ビジネスと人権」では、働く人の人権の視点から労働者の人権をめぐる課題を考えることが重要です。

LGBTを含む性的マイノリティに対する雇用と職業における差別の問題が指摘されています。特例法により性同一性障害者は戸籍上の性別を変更することができますが、その人々を職場で保護するための十分な法令はありません。また同性カップルの場合、婚姻自体はもちろん、税制や社会保障、福利厚生での同等の処遇は法制度上義務づけられていません。職場で差別的な言動に直面することも多くあります。企業におけるジェンダー平等の実現が求められています。

ヒューライツ大阪のウェブサイトの「ビジネスと人権」ページでは、ILOの中核的労働基準に関する情報を提供していますので、ぜひご覧ください。

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職場におけるジェンダー平等【2024年4月17日】

「ビジネスと人権」で重要なのは、労働者の人権をめぐるさまざまな課題を働く人の人権の視点から考えることです。企業が人権尊重責任を果たす上での最低限の基準として、国連ビジネスと人権に関する指導原則が遵守を求めているILO(国際労働機関)の中核的労働基準には、「雇用と職業における差別の排除」が含まれています。

雇用と職業における差別の問題として性差別があります。日本では労働基準法や男女雇用機会均等法によって、雇用のあらゆる面で性別を理由とする差別が禁止されています。また、性別に中立的な基準であっても、一方の性に相当程度の不利益が合理性なく生じる場合は「間接差別」として違法とされています。しかし、こうした法律があっても、職場におけるジェンダー平等はなお実現しておらず、働く人の人権の課題として対応していく必要があります。

ヒューライツ大阪のウェブサイトの「ビジネスと人権」ページではILOの中核的労働基準に関する情報、「交差性・複合差別」ページではマイノリティ女性へのインタビューや女性差別撤廃条約などに関する情報を提供していますので、ぜひご覧ください。

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ILO中核的労働基準

女性差別撤廃条約

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企業が最低限遵守すべき基準はILO中核的労働基準【2024年3月4日】

労働の現場では、労働者の人権をめぐるさまざまな課題があります。「ビジネスと人権」で重要なのは、こうした課題を働く人の人権の視点から考えることです。国連ビジネスと人権に関する指導原則は、企業が人権尊重責任を果たす上での最低限の基準の一つとして、ILO(国際労働機関)の中核的労働基準を遵守することを求めています。

この中核的労基準は、ILOの国際労働基準のうち、「強制労働の禁止」「児童労働の実効的な廃止」「雇用と職業における差別の排除」「結社の自由と団体交渉権」「安全で健康的な労働環境」の5分野10条約を含んでおり、最低限遵守されるべき労働基準として定式化されたものです。「安全で健康的な労働環境」は、2022年に中核的労働基準に加えられました。

ヒューライツ大阪のウェブサイトの「企業と人権」ページでは、ILOの国際労働基準や中核的労働基準に関する情報を提供していますので、ぜひご覧ください。

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職場で働く人々は労働者である前に「人」である【2023年12月14日】

世の中にはさまざまな職場があり、そこではさまざまな人が働いています。わたしたちもその一人であったり、それぞれの職場で働く人々に生活を支えられたりしています。人が働く場には、人権に関わる事柄がたくさんあります。ビジネスと人権の考え方のポイント、今回は働く人の人権を取り上げます。

企業が製品を生産し、サービスを提供するには労働が必要ですが、労働を担うのは一人ひとりの「人」です。1944年に出された「国際労働機関(ILO)の目的に関する宣言(フィラデルフィア宣言)」では、「労働は商品ではない」と冒頭でうたっています。また、1999年に生まれた「ディーセント・ワーク」(働きがいのある人間らしい仕事)の考え方は、すべての働く人に尊厳と幸福をもたらそうとするものです。働く人々は労働者である前に「人」であり、その人権が大切にされなければならない、ということです。

ヒューライツ大阪のウェブサイトの「企業と人権」ページでは、ILOの国際労働基準や中核的労働基準に関する情報を提供していますので、ぜひご覧ください。

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「ビジネスと人権」の中心は「人権デュー・ディリジェンス」【2023年11月13日】

前回のコラムでは、「ビジネスと人権」は経営課題として人権に取り組むことであり、国連ビジネスと人権に関する指導原則が示している人権に取り組む手順の中心となるのが、「人権デュー・ディリジェンス」であるとお伝えしました。ビジネスと人権の考え方のポイント、今回はこの「人権デュー・ディリジェンス」を取り上げます。

企業の人権尊重責任、つまり「人権を侵害しないこと」に取り組むための基本的な手順が「人権デュー・ディリジェンス」となります。人権デュー・ディリジェンスは、以下のような流れで進めていきます。

  1. 自社の事業が人権に与える影響を評価する
  2. 企業内部でアセスメントの結果を生かす仕組みをつくる
  3. 取り組みを追跡して評価する
  4. 外部へ取り組みを公表・報告する

人権尊重は企業の経営課題であり、人事、調達、製造、販売・営業、広報、経営企画など、あらゆる部門と直接に関わっています。

ヒューライツ大阪のウェブサイトの「企業と人権」ページでは、「ビジネスと人権」の取り組みを進めるためのヒントとなる情報を提供していますので、ぜひご覧になってみてください。

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「ビジネスと人権」は経営課題として人権に取り組むこと【2023年10月10日】

企業のサステナビリティやCSRのウェブサイトを見ると、多くの企業が経営トップ承認の人権方針を公開し、それに沿った取り組みを進めていることがわかります。企業が「ビジネスと人権」に取り組むということは、経営課題として取り組んでいくということです。ビジネスと人権の考え方のポイント、今回は経営課題として人権に取り組む手順をお伝えします。

経営課題として人権に取り組む手順について、国連ビジネスと人権に関する指導原則は以下の3つを示しています。その中心となるのが、自社の事業が人権に与える影響を特定・評価し、負の影響を予防・軽減するための「人権デュー・ディリジェンス」です。この手順は自社のバリューチェーン全体について行う必要があり、取引先や公権力と関わる場合も当然含まれます。

  1. 人権に関する基本方針の策定
  2. 人権デュー・ディリジェンス
  3. 人権侵害に対する救済の仕組み

ヒューライツ大阪のウェブサイトの「企業と人権」ページでは、「ビジネスと人権」の取り組みを進めるためのヒントとなる情報を提供していますので、ぜひご覧になってみてください。

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「ビジネスと人権」の基本にあるのは「国際人権基準」【2023年9月11日】

自社の事業を通じた人権への負の影響を考えるときに重要となるのが、「誰の」「何の」権利を侵害している可能性があるのかを考えることです。個々の権利は国際人権基準に示されています。企業と人権Eメールインフォがお伝えするビジネスと人権の考え方のポイント、今回は国際人権基準を取り上げます。

人権の内容である個々の権利については、世界人権宣言をはじめ、その内容を条約化した国際人権規約社会権規約自由権規約)、さらには個別課題についての人権諸条約に定められています。「ビジネスと人権」ではこれに加え、ILO中核的労働基準に則って考えることが必要になります。指導原則も、こうした「国際的に認められた人権」から考えることを求めています。

ヒューライツ大阪のウェブサイトには、指導原則と関連する国際基準・ガイドラインをまとめたページがあります。それぞれの国際人権基準にどのような権利が含まれているのか、ぜひ一度ご覧になってみてください。

関連する国際基準・ガイドライン

指導原則の概要・関連リンク

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人権尊重とは人権に負の影響を及ぼさないようにすること【2023年8月7日】

「ビジネスと人権」と検索してみると、さまざまなウェブサイトが出てきます。どのサイトにも「企業には人権尊重の責任がある」と書かれていますが、企業の事業活動の中で人権を尊重するにはどうすればいいのでしょうか。企業と人権Eメールインフォがお伝えしているビジネスと人権の考え方のポイント、今回は人権尊重とは何かです。

企業の人権尊重責任については、2011年6月に国連で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」に示されています。指導原則は、①人権を保護する国家の義務、②人権を尊重する企業の責任、③人権侵害に対する有効な救済手段へのアクセスについて、31の具体的な原則として定めています。②の人権を尊重する企業の責任では、事業活動のなかで人権に負の影響を及ぼさないこと、つまり人権を侵害することがないよう予防措置を設け、また実際に人権侵害が起これば、それを是正し、救済につなげる行動を起こすことを求めています。

ヒューライツ大阪サイトでは、指導原則の概要と関連リンクをまとめたウェブページを設置していますので、ご活用ください。

指導原則の概要・関連リンク

指導原則 原則11

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SDGsのベースにあるのは人権尊重の考え方【2023年7月3日】

 サステナビリティやCSRに関する企業の開示情報を見ていると、SDGsの17目標と事業のつながりを示したり、経営戦略に統合をめざしたりする企業が多いことがわかります。SDGsとビジネスと人権はどのように関連しているのでしょうか。企業と人権Eメールインフォがお伝えするビジネスと人権の考え方のポイント、今回はSDGsとのつながりです。

 2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の基本理念である「誰一人取り残さない」は、人権尊重の考え方です。2030アジェンダに含まれるSDGsの17目標と169ターゲットはこの考え方を基礎としており、SDGsは人権目標であると言えます。「2030アジェンダ」では、企業に対して、SDGsの達成に貢献することを求めていますが、その際に遵守すべきとされている国際基準には、ビジネスと人権に関する指導原則などが含まれています。

 ヒューライツ大阪は、SDGsの各目標がどのような人権と関連しているかを示す国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)作成の一覧表を日本語に翻訳していますので、ご活用ください(下記「SDGsと人権」ページからPDFをダウンロードできます)。

SDGsと人権

持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)

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人権は「人を大切に」すること【2023年6月2日】

 人権の取り組みの担当になると、まず浮かんでくるのが、「そもそも人権って何だっけ?」という疑問ではないでしょうか。この疑問は実はとても大切です。人権を理解することがビジネスと人権を理解する第一歩となるからです。企業と人権Eメールインフォがお伝えするビジネスと人権の考え方の今回のポイントは、人権は『人を大切に』することです。

 人権(human rights)は、すべての人が生まれながらにして平等に持っているさまざまな具体的な権利(right)の集まりです。人権の内容である個々の権利は、世界人権宣言をはじめ、主要な人権条約に定められています。
 人権の考え方の基礎にあるのは「人の尊厳」です。人は例外なく、「かけがえのない」「尊い」「大切な」存在です。このような尊厳を持つ人が「大切にされる」ために一人ひとり持つのが「人権」です。こうした人権を理解し、基本にすえながら、人権に及ぼす「負の影響」を把握すること、ここから企業が人権尊重責任を果たす第一歩が始まります。
 1948年に国際連合ですべての人々と国が達成すべき共通の基準として決議された世界人権宣言は、今年で75周年を迎えます。

人権とは何でしょう

国連「ヒューマンライツ75」イニシアティブ紹介記事

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自社の、自分の仕事から出発すること【2023年4月25日】

 4月が新年度となる企業が多い中、新たに人権の取り組みの担当になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。企業と人権Eメールインフォでは、今回からビジネスと人権の考え方のポイントをお伝えしていきます。
 今回のポイントは、自社の、自分の仕事から出発すること。企業はさまざまな「つながり」の中で事業活動を展開しています。そこで働く一人ひとりはその「つながり」の中で仕事をしています。企業はモノやサービスを提供しており、そのためには、素材、部品やエネルギーの調達が必要です。この過程では調達先との「つながり」があり、調達先で働く一人ひとりとの「つながり」があります。製品やサービスは最終的には顧客となる事業者や消費者にわたります。取引先を経由する場合もあります。この過程でも取引先や顧客となる事業者で働く人や消費者一人ひとりとの「つながり」があります。こうした「つながり」の中で、企業は地域社会の人々や環境にも影響を及ぼしています。そうした一人ひとりに人権があるのです。
 自社の、自分の仕事から出発して、このような仕事のつながりからビジネスと人権を考えることが大切です。

ヒューライツ大阪の考える「企業と人権」

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