国連グローバル・コンパクトは、経済のグローバル化により格差の拡大など社会的な問題が大きくなるなか、1999年の世界経済フォーラムで当時のアナン国連事務総長によって提唱され、2000年に発足した枠組みです。国連事務総長と企業等の参加組織トップとの間で誓約(コンパクト)を結び、参加組織は「人権」「労働」「環境」及び「腐敗防止」(2004年に追加)の4分野からなる国連グローバル・コンパクト10原則を事業活動の中で実践することが求められます。
人権分野では「人権の保護の支持、尊重」「人権侵害への非加担」、労働分野では「結社の自由と団体交渉の実効的な承認の支持」「強制労働の撤廃の支持」「児童労働の実効的な廃止の支持」「雇用と職業における差別の撤廃の支持」が求められます。
この10原則の内容は、「世界人権宣言」「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」「環境と開発に関するリオ宣言」「腐敗の防止に関する国際連合条約」に基づいているとされます。
国連グローバル・コンパクトには、企業のほか、大学、NGO、自治体(City)などの団体も参加しています。2022年7月現在で、全世界で2万、うち日本では500を超える企業や団体が参加しています。各国には参加組織のローカルネットワークがあり、日本では一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)が組織されています。
(1) |
(2) |
|
【人権】企業は、
〔原則1〕国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重すべきである。
〔原則2〕自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである。
【労働】企業は、
〔原則3〕結社の自由と団体交渉の権利の実効的な承認を支持すべきである。
〔原則4〕あらゆる形態の強制労働の撤廃を支持すべきである。
〔原則5〕児童労働の実効的な廃止を支持すべきである。
〔原則6〕雇用と職業における差別の撤廃を支持すべきである。
【環境】企業は、
〔原則7〕環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持すべきである。
〔原則8〕環境に関するより大きな責任を率先して引き受けるべきである。
〔原則9〕環境にやさしい技術の開発と普及を奨励すべきである。
【腐敗防止】企業は、
〔原則10〕強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むべきである。