この指導原則は、以下を認めることのうえに成り立っている。
(a) 人権及び基本的自由を尊重、保護及び実現するという国家の既存の義務
(b) 特定の機能を果たす特定の社会組織として、適用されるべきすべての法令を遵守し人権を尊重するよう求められる、企業の役割
(c) 権利及び義務が侵されるときに、それ相応の適切で実効的な救済をする必要性
この指導原則は、すべての国家とすべての企業に適用される。すべての企業とは、その規模、業種、拠点、所有形態及び組織構成に関わらず、多国籍企業、及びその他の企業を含む。
この指導原則は、全体を一つの首尾一貫したものとして理解されるべきであり、また影響を受ける個人や地域社会に具体的な結果をもたらすため、またそれにより社会的に持続可能なグローバル化に貢献するためにビジネスと人権に関する基準と慣行を強化するという目標に沿って、個別に、またまとめて、読まれるべきである。
この指導原則におけるいかなるものも、新たな国際法上の義務を創設するものとして、また、国家がすでに受け入れ、また人権に関する国際法の下で受諾するいかなる法的義務を制限するか若しくは損なうものと解釈されるべきではない。
この指導原則は、社会的に弱い立場に置かれ、排除されるリスクが高い集団や民族に属する個人の権利とニーズ、その人たちが直面する課題に特に注意を払い、かつ、女性及び男性が直面するかもしれない異なるリスクに十分配慮して、差別的でない方法で、実施されるべきである。