人権を尊重する企業の責任は、その規模、業種、事業状況、所有形態及び組織構造に関わらず、すべての企業に適用される。しかしながら、企業がその責任を果たすためにとる手段の規模や複雑さは、これらの要素及び企業による人権への負の影響の深刻さに伴い、様々に変わりうる。
企業が人権を尊重する責任を果たす手段は、とりわけその規模に比例する。中小企業は、大企業に比べると、余力が少なく、略式のプロセスや経営構造をとっているため、その方針及びプロセスは異なる形を取りうる。しかしながら、中小企業のなかにも人権に対し重大な影響を及ぼすものがあり、その規模に関係なくそれに見合った措置を求められる。影響の深刻さはその規模、範囲及び是正困難度で判断される。企業が人権を尊重する責任を果たすためにとる手段もまた、企業が事業を企業グループで展開しているのか、単体で展開しているのか、またどの程度の範囲で展開しているかによって異なることもあろう。しかしながら、人権を尊重する責任は、すべての企業に完全にかつ平等に課される。