MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

  1. TOP
  2. 企業と人権
  3. ビジネスと人権に関する指導原則
  4. 原則23

原則23

あらゆる状況において、企業は、次のことをすべきである。

(a) どこで事業をおこなうにしても、適用されるべき法をすべて遵守し、国際的に認められた人権を尊重する。

(b) 相反する要求に直面した場合、国際的に認められた人権の原則を尊重する方法を追求する。

(c) どこで事業をおこなうにしても、重大な人権侵害を引き起こすまたは助長することのリスクを法令遵守の問題としてあつかう。

解説

特定の国や地域の状況が、企業の活動及び取引関係における人権リスクに影響を及ぼすことがあるかもしれない。しかしながら、すべての企業には事業をどこで行おうと人権を尊重するという同じ責任がある。ある国の国内状況により企業がその責任を完全に果たすことができない場合、企業は、国際的に認められた人権に関する諸原則をその状況のもとで出来る限りぎりぎりまで尊重すること、そしてこの点でその努力を行動によって証することができるよう期待されている。

事業環境のなかには、例えば紛争影響地域のように、他のアクター(例えば、治安部隊など)による重大な人権侵害に企業が加担するというリスクを高めるものがあるかもしれない。域外民事請求や、企業の刑事責任を規定する諸国の法制度に国際刑事裁判所ローマ規程(15)の規定が取りいれられることにより潜在的な企業の法的責任の幅が拡大していることを考えた場合、企業はこのリスクを法令遵守の問題としてとりあげるべきである。加えて、企業の管理職、及び従業員は、重大な人権侵害となる行為に対して個人としての責任を問われることもありうる。

このような複雑な状況において、企業はその状況を悪化させないようにすべきである。どのように対応することが最善であるかを判断する際、企業内の専門知識や部門横断的な協議を活用するだけでなく、政府、市民社会、国内人権機関及び関連するマルチステークホルダー・イニシアティブなどの外部の信頼できる独立した立場の専門家と協議することがしばしば薦められる。

 

(15) 訳者註)国際刑事裁判所(International Criminal Court)の構成、管轄する犯罪、手続きなどを定めた国際条約で、1998年7月、ローマにおける国際刑事裁判所の設立に関する国際連合全権外交使節会議で採択、2002年7月発効。