国家は、ビジネスに関連した人権侵害を取り扱う、実効的な非国家基盤型苦情処理メカニズムへのアクセスを促進する方法を考慮すべきである。
非国家基盤型苦情処理メカニズムの分野には、一企業単独でまたはステークホルダーと共に運営するもの、業界団体によるもの、またはマルチステークホルダーからなるグループによるものが含まれる。これらは非司法的なものであるが、裁定を目指したり、対話に基づくものであったり、あるいは異文化を尊重し、権利に適合したプロセスを使うこともある。これらメカニズムが、アクセスや救済の迅速性、少ない経費、及び/または国境を越えての対応といった具体的な利益をもたらすこともあろう。
もう一つの分野は、地域的及び国際的人権諸機関からなる。これら諸機関は、ほとんどの場合、人権を尊重する義務がある国家による侵害に関する訴えを扱ってきた。しかしながら、なかには、企業による人権侵害から保護するという義務を国家が果たさない事案を扱ったものもある。
国家は、自身が設けるメカニズムと並行して、そのような選択肢があることの認識を高め、あるいはそれへのアクセスを助けることで有益な役割を果たすことができる。