国家は、企業慣行を規律する政府省庁、機関及び他の国家関連機関が、関連情報、研修及び支援を提供することなどを含む、各々の権限を行使する時、国家の人権義務を確実に認識し、監督することを確保すべきである。
国家の人権義務と、企業慣行を規律するために国家が施行する法令や政策の間に、避けることができない相克はない。しかしながら、時として、国家は、社会の異なるニーズの間の調和をとるために、バランスを保ちながらの難しい決定をしなければならない。適切なバランスを実現するため、国家は、国内政策の垂直的及び水平的な一貫性を確保することを目指しながら、ビジネスと人権の課題に対処するよう幅広いアプローチをとる必要がある。
政策の垂直的な一貫性とは、国家が、国際人権法上の義務を実施するために必要な政策、法律及びプロセスを持つことを意味する。政策の水平的な一貫性とは、会社法及び証券規制法、投資、輸出信用及び保険、貿易、労働を含む、国及び地方の両レベルで企業慣行を規律する部局や機関が国家の人権義務について認識を持ち、また義務に合致した行動がとれるように、これを支援し対応力をつけさせることである。