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人権教育セミナー「『差別』を深堀りする(その1)それって差別?それとも区別?差別はなぜ悪いの?」を開催しました。(8/9)

 ヒューライツ大阪は8月9日、「差別の哲学入門」の共著者である堀田義太郎さん(東京理科大学教養教育研究院准教授)を講師に招き、参加者が差別を深く考え整理するためのセミナーをドーンセンターで開催しました。

 ステレオタイプや偏見に基づく男女間での異なる扱いや、統計によって導かれる確率論に基づく異なる扱いなど日常で起こり得る様々な事例について、それは差別なのか、正当な区別なのか、あるいは不当ではあっても差別とはいえないのか参加者同士でディスカッションを行った上で、堀田さんより差別の哲学の観点から解説いただきました。

 堀田さんは差別を捉えるにあたっては歴史的背景や社会的文脈を考慮に入れることが重要であると強調しました。また差別の不当性をめぐっては、差別される側が受ける害・不利益に着目する「害説」と、差別する相手を同等な価値を持つものとして尊重しない、その貶める意味に着目する「リスペクト説」があることを紹介し、後者のうち特に「社会的意味説」について説明しました。

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 社会的意味説というのはある行為に対して、その行為者の意図や動機、あるいはそれによって受け手が直接に受ける結果(害や不利益)からも独立して社会的な文脈によって特定の意味を持つことに着目します。このことについて堀田さんは学校における名簿や座席の配列を一例に挙げ解説しました。姓を五十音順に配列することは社会的な意味を持たないけれども、それに対して、男子生徒を前/女子生徒を後に配列するやり方は、それによって個人が害を感じないとしても「女性を後回しにする」、「女性は男性よりも前に出ない」という慣習を象徴する意味を持つものとして差別と捉えられるということです。

 参加者からの感想には「とても論理的な話がきけて、このテーマに関する関心が深まった」という感想や、「現実の差別との向き合い方を考える材料になると思った」という声、また「人権研修をすすめる上で新しい視点、切り口を得た」と実践的な活用につながる感想も寄せられました。

 参加者は21名でした。


*2回目のセミナー情報についてはこちらをご覧ください。
*2回目のみのご参加歓迎です。1回目の内容につき、堀田さんにまとめていただいたものを8月20日頃にウェブサイトにアップいたしますので、ご参加の際の参考資料にしてください。