ある条約全体の趣旨には賛同できるので国家として締約国になりたいとは思うものの、その一部の内容と国内の事情がどうしても一致しない場合、その国は条約に入ることを諦めなければならないのでしょうか?そんなことはありません。このような場合に使われるのが「留保」とテクニックです。留保とは、条約に入る場合に特定の内容を自国の状況に合わせて変更したり、なかったことにしたりすることを目的として国家が行う宣言のことです。このテクニックを認めることによって、条約の趣旨に賛同するより多くの国家を条約の締約国として取り込むことが可能になります。
ただしこのテクニックが許されるのは、あくまでも条約の趣旨や目的から大きく離れない程度の留保である場合に限られ、どのような留保が許されるのかは条約によって決まります。たとえば、
自由権規約の締約国になるにあたって思想・良心の自由の保障を留保するなどといったことは、まさに自由権規約の存在している意味を傷つけてしまうので許されません。