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用語の説明
ジェンダー
「ジェンダー」とは、男女の生き方、役割、特性、関係性、性別分業などに関して、「こうあるべき」「こうあるのが自然」といったように、社会のなかで共有されている考え方や価値観、社会規範や社会意識などと、それらと関連してつくりだされている社会制度や社会構造における性のありようをいいます。
性染色体・性腺・性ホルモン・内性器・外性器など、生物学的・解剖学的・身体的な性別の区分をセックス(sex)と呼ぶのに対して、「女らしさ/男らしさ」「社会的な性役割」など、社会的・文化的な性別の区分をジェンダー(gender)と呼ぶこともあります。
1960年代以降の国際的規模で展開した第二波フェミニズムにおける、性をめぐる理論化と運動の中で、ジェンダーの視点が用いられるようになってきました。不平等な社会関係のありよう、その社会的機能、それらを生み出す社会構造や社会関係の歴史性と変容に着目する視点や概念です。
第一派フェミニズムが、参政権・労働権・教育権などの分野において、男性が有していた権利と同等の権利を女性にも保障することを求めた運動であったのに対し、第二派フェミニズムは、私的な領域の中に存在している性をめぐる権力関係、性別分業、女性の性と生殖に関する自己決定権、女性に対する暴力などの問題について次々と声をあげていきました。その際の認識・分析における重要な視点が「ジェンダー」でした。
ジェンダーの視点は、性に関わる問題が社会的・政治的に構築され、権力関係を含んでいたことを明らかにしました。既存の学問や思想、人権概念なども実は男性中心主義であり、社会体制が男性中心に構築されていったことを新たに導き出す大発見でした。
(熊本 理抄)