マイクロアグレッションに対するマイノリティの受けとめ方は、それまでの経験や、得られるサポートの有無など、それぞれの状況によって少しずつ違うかもしれません。特定のマイクロアグレッションに対して、すごく不快な思いをする人もいれば、何とも言えないモヤモヤが残るという人、なかにはまったく気にならないという人もいるかもしれません。しかし、仮に目の前の相手が傷ついていなかったとしても、だから問題がないというわけではありません。
マイクロアグレッションは社会の中にある不平等の反映です。これを逆の面から捉えると、社会の中にある不平等な関係は日常のマイクロアグレッションに日々、支えられているということです。無自覚な偏見からなる悪意のない発言も、放置していると、マイノリティをそのように偏見をもって眼差したり、扱っても良しとする社会の風潮はだんだんとエスカレートします。最初は悪意のない何気ない偏見がより露骨な嫌がらせや暴力に発展することは、日本を含む世界の歴史のなかで証明されています。目の前の個人に与える影響と社会への影響と両方の視点を常に意識することが大切です。
もう一つ大切なことは、確かに感じ方は一人ひとり少しずつ違うかもしれませんが、マイノリティの立場だからこそ気づくことがあるということです。このサイトで紹介している事例は、それぞれのマイノリティの立場からは「あるある」話として共有・共感できるものがほとんどです。マジョリティの立場からは、「こんなの気にする人は一部ではないのか」、「人それぞれ違うでしょ」と思うかもしれませんが、この感じ方や受けとめ方のギャップ(格差)もまた、マジョリティとマイノリティとの間の不平等を反映しているといえるでしょう。