まずは、私たち一人ひとりがマイクロアグレッションをできるだけしないですむように、また起こったときにそれに気づけるようになることが大切です。
しかし、自分が抱いているマイノリティに対する偏見や、差別意識にみずから気づくために、自分の〈心の内〉をのぞき込もうとしても実際には難しいものです。気づけるようになるためには、自分の〈心の外〉(=社会の状況)に目を向け、認識を深めることが必要です。
心理学では、差別は ① 法律や制度に埋め込まれた差別(制度的差別)、② 文化(慣習や社会規範)に埋め込まれた差別(文化的差別)、そして ③ 私人間で起こる差別(直接的差別)の3つの次元があるとされますが、これらがそれぞれ独立して存在しているのではなく相互に影響しあっていることを認識することが重要です。
マイクロアグレッションは ③ の直接的差別に含まれますが、多くの場合は悪意がなく、その言動に込められたマイノリティへの無自覚な偏見は、① 制度的差別や ② 文化的差別に溶け込んで隠れているために見過ごされがちです。マイノリティに対する隠れた差別に気づくためには、私たちの何気ないつもりの言葉や態度が制度的差別や文化的差別と結びついていないか点検することが大事です。