国連の主要な人権条約の一つである人種差別撤廃条約は、1965年国連総会で採択されました。2016年現在、世界177ヵ国がこの条約の締約国となっており、日本は1995年に加入しました。条約は第1条で、人種差別の定義を人種、皮膚の色、世系または民族的もしくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限または優先であると定義していますが、日本においては、部落、アイヌ民族、琉球・沖縄、旧植民地出身者およびその子孫(在日コリアン、在日中国人)、在日外国人などがこの条約の対象コミュニティとなります。締約国は条約の実施を人種差別撤廃委員会に定期的に報告をして審査を受けます。日本の審査はこれまで2001年、2010年そして2014年に実施され、差別撤廃のための具体的な勧告をさまざまに受けてきました。人種差別と女性差別が交差する複合的な差別に関しては、2010年および2014年の審査においてマイノリティ女性に対する暴力の視点から指摘され、勧告が出されています。