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報告会「フィリピンの日系バイオ燃料事業-つづく地元住民の苦悩」&上映会『空に溶ける大地』を共催しました(11月9日)

 FoE Japan、関西フィリピン人権情報アクションセンター、ODA改革ネットワーク関西とヒューライツ大阪は、11月9日に京都で報告会「フィリピンに日系バイオ燃料事業-つづく地元住民の苦悩」&上映会『空に溶ける大地』を共催しました。
 ドキュメンタリー『空に溶ける大地』を解説する中井信介さん.JPGのサムネール画像
 「バイオ燃料」は「環境にやさしい」というイメージが強く、温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーへの移行が強調されるなか、気候変動やエネルギー問題の解決策としても注目を浴び続けています。
 そうしたなか、発展途上国の「バイオ燃料」の生産現場において、大規模なプランテーションの「開発」や工場の操業により、地元住民の生活が脅かされているという事態が発生しています。
日本企業が出資しているフィリピンのバイオ燃料開発の現場はその一例です。この事業は、ルソン島北部のイサベラ州において、サトウキビを原料としたバイオエタノール製造・販売、およびサトウキビ残滓からの再生可能エネルギーの電力供給を目的としたもので、日本企業2社が約70%を出資する合弁事業です。2012年7月から操業しています。
 
報告会では、このフィリピンでのバイオ燃料開発の実態をドキュメンタリー作品『空に溶ける大地』(「地方の時代」映像祭・2013年入選作品)を上映するとともに、監督したビデオジャーナリストの中井信介さんによる解説、そして現地コミュニティとともに問題解決に取り組んでいるFoE Japan委託研究員の波多江秀枝さんが、最新の現場の状況を説明しました。
報告する波多江秀江さん.JPGのサムネール画像報告によると、事業実施に伴い、地元の農民が数十年にわたり米やトウモロコシを生産していた田畑が知らぬ間に奪われて、燃料の原料となるサトウキビが作付されてしまった、バイオエタノール製造工場の操業後、騒音の発生、工場排水による灌漑用溜池の汚染、魚類の死亡、周辺での悪臭といった様々な問題をもたらしています。
地元の農民団体は、フィリピンにおいて当該企業や地方政府に問題を訴え解決策を求めています。また、FoE Japanは日本企業に公開質問状を送付したり、対話を行ってきました。その結果、日本企業は、合弁企業に対しては株主として、またサトウキビを購入しているフィリピン企業に対してはサプライチェーンマネージメントの一環として、問題への対応や解決に向けて現地に日本から社員を常駐させるなどの取り組みを始めたといいます。
波多江さんと中井さんは、今後もこの事業をモニターしていくと語っています。報告会には20人が参加しました。3月には大阪で同テーマの報告会を開催していました。
 
 
  
<参照>
報告会「グリーン・エコノミーの罠」&『空に溶ける大地』上映会-「フィリピンの日系バイオ燃料事業が曝け出した問題」を開催しました(3月28日)
 
<事業の詳細>
フィリピン・イサベラ州バイオエタノール製造・発電事業(FoE Japan のサイト)