2013年の新語・流行語大賞のトップテンにも入った「ヘイトスピーチ」について、ヒューライツ大阪は、人種差別撤廃NGOネットワーク、反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)と共催して連続で、集会を開催してきました。11月28日開催の4回目となる今回は、京都朝鮮第一初級学校側の弁護団の冨増四季弁護士と東京造形大学の前田朗教授が報告しました。冨増さんは、京都地裁の、同学校に対して街宣などを行った「在特会」に対して、約1,200万円の損害賠償の支払いと学校から半径200m内の街宣などの行動を差し止める10月の判決について、街宣や妨害活動によって学校の子どもたちが受けた被害や学校の教員、保護者が子どもたちをまもろうとした活動を説明し、ヘイトスピーチによって起こされる被害に目を向ける必要があることについて述べました。また、判決が人種差別撤廃条約に言及し、条約を実施する義務を負う「国家」には裁判所も含まれると述べたことを指摘しました。
前田教授は、国際社会や各国におけるヘイトスピーチについて、ほとんどの先進国において、ヘイトスピーチに対して何らかの規制があると述べ、言論、表現の自由か規制かという二元論だけでとらえるべきではないこと、言論・表現の自由を守るために、特定の集団を排除してしまうヘイトスピーチを規制する必要があることを説明しました。
また、外国人人権法連絡会運営委員の師岡康子さんから、同日に東京の議員会館で開催された「第3回差別撤廃国会集会」の状況について、スカイプによる報告がありました。
ヘイトスピーチについて、国連人種差別撤廃委員会が8月に一般的勧告を出しています。同勧告は、ヘイトスピーチに対して、人種差別撤廃条約の締約国がとるべき措置などについて説明をしています。ヒューライツ大阪はIMADR-JCと共同でこの勧告を翻訳して(監訳、窪誠大阪産業大学教授)、ウェブサイトに掲載しています。
参考:
「国連人種差別撤廃委員会、ヘイトスピーチに関する一般的勧告を採択」ヒューライツ大阪ニュース・イン・ブリーフ(2013年8月)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2013/09/post-93.html
人種差別撤廃委員会 一般的勧告35 (2013)「人種主義的ヘイトスピーチと闘う」
https://www.hurights.or.jp/archives/opinion/2013/11/post-9.html