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ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

講演会「"女性人権"の井戸を掘り続けて-韓国女性ホットラインの活動がめざすところ-」(1月11日)を開催しました。

 1月11日(土)に、韓国の「女性ホットライン」の活動を中心に長年、女性の人権向上に力を尽くしてきた朴仁恵(パク・イネ)さんを招き、ドーンセンターで講演会を開催しました。この事業は、ヒューライツ大阪、大阪府立大学女性学研究センター、 (一財)大阪府男女共同参画推進財団、立命館大学国際言語文化研究所ジェンダー研究会が共催しました。

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 韓国女性ホットライン(「女性の電話」と訳される場合もある)は、1983年に設立した女性人権運動団体で、女性に対するあらゆる暴力を根絶し、社会の中で女性の人権を保障し、性差別のない社会をつくるために様々な活動をしてきました。現場での相談事業はもちろんのこと、性暴力特別法(1993年)やDV防止法(1998年)、性売買防止法(2004)制定にも大きな貢献をした団体です。朴仁恵さんは、1993年に地元の仁川(インチョン)での女性ホットライン創設メンバーとして加わり、2003年には韓国女性ホットライン連合の常任代表を3期務め、日本をはじめ海外の女性団体との活発な交流も進めてきました。

 プログラムは、大阪府立大学教授の伊田久美子さんのコーディネートで進行し、まずコメンテータ-として立命館大学非常勤講師の山下英愛さんが、「キーワードで見る韓国の歴史と女性」について、3人の女王がいた新羅時代など、儒教的文化が固まってしまった朝鮮王朝以前の歴史から1990年代までをコンパクトに整理して解説しました。また山下さんが1945年以降から現在にいたるまでの韓国の女性運動をめぐる動きについて年表を作成し、講演内容の理解を助けるものとなりました。

 朴仁恵さんは、「韓国の性暴力特別法制定過程と現在」というテーマで資料を準備しましたが、特に、2000年代以降、女性の人権に関わる法整備がなされ、制度化された状況での韓国での女性ホットラインの運動を中心に報告をしました。制度化の中で、女性運動団体が担っていた事業が政府に吸収され、運動自体が弱体化したことに悩みつつも、これを打ち破るためのあらたな提案と議論をしていきたいという熱いメッセージが語られました。

 また朴槿恵(パク・クネ)政権下で、政府機関である女性家族部(省)と女性団体との関係が縮小していますが、性暴力犯罪での親告罪の廃止(2013年6月19日から施行)が実現し、現在の動きとして、性暴力防止法の目的の中に、「被害者の生命と身体の安全保障」のみならず、「人権促進・人権保護」を明示させるよう法改正運動を進めたり、スト―キング防止法の制定を準備しているという報告がありました。

 会場は、関西で性暴力をなくす様々な取り組みを担っていたり、韓国の女性運動に関心があったり、あるいは韓国の性売買従事者の権利に関わる運動をしている人など多様な参加があり、質疑応答が活発に行われました。朴仁恵さんの今回の報告は、女性ホットラインの運動をふりかえる博士論文をまとめた著書『女性運動のフレームと主体の変化:女性人権言説を中心に』(出版ハヌル、2011.6)をベースにしたもので、現在、この日本語版を翻訳中です。 

 朴仁恵さんは、翌日12日は、東京へ移動し、「性暴力禁止法をつくろうネットワーク」とNPO法人アジア女性資料センターの共催で、東京ウィメンズプラザ・ホールで行われた「性暴力禁止法をつくろう!~韓国の経験から学ぶ~」の講演会とパネル・ディスカッションのスピーカーとして参加しました。東京では、日本で性暴力禁止法を制定に向けて運動をしてきたメンバーとともに韓国の経験を分かち合い、思いを共有しました。