上映会「『ロス暴動の真実』-コリアタウンはなぜ襲われたのか」を開催しました(3月12日)
ヒューライツ大阪は3月12日、反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)、コリアNGOセンター、RINKと協力し、セミナー&上映会「“ロス暴動”からレイシズムを考えよう‐ヘイト・スピーチを許さない私・あなたへのメッセージ」をヒューライツ大阪のセミナー室で開催しました。ノンフィクション作家の高賛侑(コウ・チャニュウ)さんの解説のもと、DVD「『ロス暴動の真実』-コリアタウンはなぜ襲われたのか」(原題:Clash of Colors 、2008年制作、78分)を上映し、ロス暴動の背景を知るとともに、現在の日本におけるヘイト・スピーチをめぐる課題を議論しました。参加者は20人でした。
「ロサンゼルス暴動」は、1991年3月に黒人青年がスピード違反で逮捕された際、4人の白人警官に激しい暴行を受けたにもかかわらず、翌年4月29日に陪審員が無罪の評決を出したことに黒人の怒りが爆発し、黒人集住地域であるサウスセントラルで起きた暴動が米国全土に拡がったという事件です。4月30日にコリアタウンが襲撃され、韓国人が1人死亡するなどコリアンの被害は2,200余件、金額にして4億ドル(460億円)に及ぶ損害をもたらしました。
この事件は、「黒人がコリアタウンを襲撃」というニュースが世界を駆け巡りました。しかし、報道内容は真相とは大きくかけ離れていたといいます。ロス市警は暴動発生後、白人居住地域で防御態勢を固めた一方で、コリアタウンを放置したため、白人地域に行けなくなった黒人の怒りがコリアタウンに向けられたのですが、そのことについては報道されませんでした。また、コリアタウンの店舗を襲撃したのはサウスセントラルの2組のギャング集団が中心だったにもかかわらす、あたかも多数の黒人が襲ったかのような誇張した報道が行われたといいます。
このように、もともと白人による黒人差別に起因して発生した暴動の標的がコリアンであるかのようにすり替えられたのでした。暴動が沈静化した同年5月2日、約10万人のコリアンが集まった平和集会が開かれました。
高さんは、事件が起きた1992年9月に現地を訪ねて、暴動の真相が著しく歪曲報道されていることを知りました。高さんは、ロス暴動をめぐるマスメディアの報道、政治家やロス市警の対応などをみたとき、日本におけるヘイト・スピーチ、ヘイト・クライムの現状に通底するものがあると語りました。
”ロス暴動”からレイシズムを考えよう‐ヘイト・スピーチを許さない私・あなたへのメッセージ
DVD上映:「ロス暴動の真実」コリアタウンはなぜ襲われたのか(78分)
解説: 高賛侑さん(コウ・チャニュウ) ノンフィクション作家
日時: 2015年3月12日(木)午後6時30分~8時30分
場所: ヒューライツ大阪・セミナー室
主催: 人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)
協力: 反差別国際運動日本委員会、ヒューライツ大阪、コリアNGOセンター、RINK