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セミナー「児童労働・強制労働をなくすために企業と消費者ができること ~『Free2Work電子機器産業レポート』」を開催しました(8月31日)

 ヒューライツ大阪は8月31日、東京の市民団体ノット・フォー・セール・ジャパン(NFSJ)代表の山岡万里子さんを講師に招いて、セミナー「児童労働・強制労働をなくすために企業と消費者ができること~『Free2Work電子機器産業レポート』を通じて考える」を開催しました。
「電子機器産業レポート」は、世界の大手電子機器メーカー39社を対象に、原料調達・製造過程(サプライチェーン)における労働者の権利を守るための取り組みについて調査し5段階のスコアに評価したものです。人身取引撤廃に取り組むアメリカの団体ノット・フォー・セール(NFS)が、オーストラリアのNPOバプティスト・ワールド・エイドと共同で、労働搾取をなくすことを目的に立ち上げたプロジェクト「Free2Work」(フリー2ワーク)によりまとめた英文報告書で、2014年5月からウェブサイトに公開されています。
ノット・フォー・セール・ジャパンは、このレポートの日本語翻訳版を作成し、2015年4月にウェブ上で発表しています。対象となった企業には日本企業9社も含まれています。
山岡さんによると、レポートの作成方法は、①各企業が公表しているCSR報告書をもとに61の項目ごとにチェックし、②報道やNGOの報告書などを加味したうえでスコアカードを作成し、③企業に提示し、疑問・不服を受け付け、④企業からの追加資料でスコアカードを見直し、⑤企業に最終的な評価とスコアカードを送り、了承を得たうえで公表するというプロセスをとっているそうです。
61のチェック項目は、方針、トレーサビリティ(追跡調査ができるか)と透明性、モニタリングと指導、労働者の権利の4部門に分類しています。たとえば、「サプライヤーの労働基準に関する行動規範には、児童労働の廃止が含まれているか」(方針)、「従業員は生活できる賃金を受け取っているか」(労働者の権利)といった内容です。
レポートでは、労働者の団体交渉権を保障している工場に関する証拠を提示したノキア社や、サプライヤー企業に対して労働者が過剰な仲介手数料を求められ債務奴隷に陥らないよう要求しているアップル社の模範事例(グッドプラクティス)も紹介しています。
山岡さんは、このレポートの公表を通じて、企業に対しては、同業他社の対応を知り改善のヒントにするよう期待しています。消費者に対しては、製品ができる過程にどんな問題が隠れているかを知り、今後の参考にしてほしいと述べました。また、消費者として、企業に対して「消費者は見ている」というメッセージを送るとともに、企業の肯定的な取り組みを応援していく効果を期待しています。
セミナーの参加者は20人でした。
IMG_0004セミナー2.JPG
 
<参考>
・『電子機器産業レポート』の日本語翻訳版
Free2Work(フリー2ワーク)のサイト(http://www.free2work.org/)の 「ELECTRONICS REPORT IN JAPANESE」をクリック。
・ノット・フォー・セール・ジャパン(Not For Sale Japan)