文字サイズ

 
Powered by Google

MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

セミナー「今知りたい、バングラデシュ~ダッカ襲撃事件をうけて」(7月31日)開催

 2016年7月1日にバングラデシュ・ダッカのレストランで起きた襲撃・人質事件において、日本人7人を含む20人以上が殺害されました。この事件は、バングラデシュで国際協力に携わる人たちのみならず、多くの市民に衝撃を与えました。
 そのような事態を受け、市民による国際協力に取り組むNPO法人シャプラニールの大阪連絡会が7月31日、一般社団法人シェア・ザ・プラネットの代表理事の筒井哲朗さんを講師に招き、セミナー「今知りたい、バングラデシュ~ダッカ襲撃事件をうけて」を大阪市内で開きました。筒井さんは、1986年に青年海外協力隊として同国に派遣されて以降、シャプラニールのスタッフとして活動するなど30年間にわたりバングラデシュと関わりをもっています。
セミナーは、今回の事件で両国の友好関係が損なわれることがないよう、これまでの日本とバングラデシュの人々の繋がり、およびバングラデシュの人々の生活について市民が身近に知ることを目的に企画されたものです。ヒューライツ大阪は、協賛団体として広報など開催に協力しました。
DSCF3571.JPG
 
 筒井さんは、バングラデシュの独立から現在にいたる背景と政治経済情勢や民族、宗教などについて概説しました。日本との関わりについては、1971年にバングラデシュとして独立した際、日本が最初に承認したことや、以来、日本が最大の援助国であることなどから、人々は概ね親日的であると語りました。
 一方、繊維産業の発展を軸に経済成長を遂げ、長年いわれてきた「アジアの最貧国」から少しずつ脱皮しようとしているなか、若者の教育水準もあがってきています。そうしたなか、社会の不平等や政治への不満などを背景とした一部の若者の「心の闇」も深まっているのではないかと述べました。襲撃事件の実行犯たちは18歳から26歳までの若者で、名門高校や名門大学の出身者たちでした。筒井さんは、彼らは正義感や不満のはけ口を、極端なイスラム原理主義に求めたのかもしれない、とみています。もちろん、若者をはじめとする大部分の市民たちは、襲撃事件を支持していないことについて、事件後にもらった多くの友人たちからの連絡で実感しています。
 筒井さんはまた、日本人の犠牲者が出たことについて、安保法制などを通して日本が米国に同調していることから日本人が標的となったという可能性は否定できないものの、今回はたまたま日本人が狙われたのではないかとみています。
ただ、事件は日本の政府開発援助(ODA)および市民による国際協力のいずれにとっても大きなブレーキになったと残念がっています。
 セミナーにはバングラデシュへの国際協力に関わるNGOやJICA(国際協力機構)の関係者、青年海外協力隊OB、研究者、教員、高校生など50名近くの市民が参加していました。質疑応答では、日本からのODA関係者が標的になったことについて、また今後バングラデシュに国際協力を続けていく上での懸念や課題などについて、参加者から多くの意見が出されました。