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公開学習会「ビジネスと人権に関する国別行動計画を知る・考える」を開催しました(6月6日)

6月6日午後6時30分から、公開学習会「ビジネスと人権に関する国別行動計画を知る・考える~「ビジネスと人権に関する指導原則」を効果的に実施するため国が策定する行動計画(NAP)の意味と意義~」を開催しました。企業関係者、NGO関係者など16名の参加がありました。日本政府が策定プロセスに入っている「ビジネスと人権に関する国別行動計画(Nationl Action Plan:NAP)」について、まず知り、そして企業やNGOにとっての意義を考えようとするセミナーでした。

ヒューライツ大阪・白石理会長の「国別行動計画をめぐる経過と現状」では、2014年のビジネスと人権フォーラムと2015年のG7エルマウ・サミット首脳宣言で国別行動計画が言及されて以降の経過と、国別行動計画とは何かの概括的な解説がなされました。

ヒューライツ大阪・松岡秀紀特任研究員の「国別行動計画の策定ガイダンスには何が書かれているか」では、国別行動計画をめぐる経過を具体的に補足するとともに、国連ワーキンググループから出された国別行動計画ガイダンス文書の内容が詳細に紹介されました。また、「ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォーム」についても紹介されました。

大阪経済法科大学・菅原絵美准教授の「指導原則のこれまでとこれから:国別行動計画の策定にむけて」では、「ビジネスと人権に関する指導原則」が国連人権理事会で承認されて6年近くになる現在、残された課題を指摘するとともに、国別行動計画で重要になる「国家の人権保護義務」と「救済へのアクセス」に焦点をあてて解説がなされました。

終了後のディスカッションも活発になされ、以下のような質問や意見が出されました。

  • 「ISO26000(社会的責任に関する国際規格)、ISO20400(持続可能な調達に関する国際規格)、SDGs(持続可能な開発目標)などと国別行動計画との関係はどのように考えればいいのか。」
  • 「企業セクターとNGOなどの市民社会セクターとが国別行動計画をめぐって議論、連携するような場があってもよい。」
  • 「国別行動計画のいう『関係するステークホルダー』の組織化が必要ではないか。」
  • 「海外からもCSR調達やESG投資関連の質問などが増えてきており、国際社会との認識の差を感じているが、政府と企業の間に人権課題のプライオリティ(優先順位)のズレがあるのではないか。」
  • 「サプライチェーンの現場では、利害や思惑が錯綜している現実があり、企業内でも層や部署によって意識が違う中、簡単には解決しないだろう。」
  • 「JICAでもすでに環境社会配慮ガイドラインを定めてきてはいるが、実際には十分に遵守されていない現実もある。」
  • 「国別行動計画では、企業だけではできないところの共有と提言がキーになるだろう。それが国別行動計画の策定における企業の役割でもある。例えば、現地のキャパシティ・ビルディングと認証マークをパッケージにするなど。また、サプライヤーに対する影響力(レバレッジ)が小さい場合もあるが、こうした企業の持つジレンマをよい方向に向かわせる必要がある。」

<参考>

 

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